エナメル質エッチングの電子顕微鏡像(倍率:5,000倍)エナメル質/接着材料(コンポジットレジン)界面の電子顕微鏡像(倍率:2,000倍)Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2023 vol.3 issue 3図1 ブラケットの歯面への接着。ブラケットコンポジットレジンの層エナメル質にしみこんだレジンタグ64b日本版オリジナルページる(図1)。マルチブラケット装置について、臨床的に求められる接着力の明確な基準は存在しないが、ひとつの目安として6~8MメガパスカルPaという値が提唱されている6。この「MPa」は臨床歯科医にとってはなじみのない圧力の単位であるが、単位面積あたりで計算され、標準的な大きさの小臼歯用のブラケットであれば、約6~8kgの荷重に相当する。 萌出後に長年経過している成人永久歯のエナメル質と萌出間もない幼若永久歯のエナメル質とでは、含有有機成分の量的な違いによりエッチングの様相が異なり、幼若永久歯に対するブラケットの接着力は、成人永久歯に対するものよりも2割程度低くなることが報告されている7。➡レジンタグブラケットのディボンディングにおける破壊様式の種類 マルチブラケット装置の動的治療終了時には、ディボンディングプライヤーを使用して歯面に接着されたブラケットのディボンディングを行う。レジン系接着材料で接着したブラケットに対するディボンディングでは、接着材料の破壊様式が大きく3つのタイプに分類される(図2)。❶のタイプは、ブラケットと接着材料(コンポジットレジン)の間で破壊が生じ、接着材料がほぼすべて歯面に残る形式である。❷のタイプは、歯面とブラケットベース面の双方に一部の接着材料が残る混合型であり、「凝集破壊」と呼ばれる。❸では、多くの接着材料がブラケットのベース面に残り、歯面
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