キーワード 矯正歯科治療と補綴治療の融合、GPによる矯正歯科治療、成人矯正治療、アライナー矯正治療、咬合治療、生理的顆頭安定位了した症例を見て「アライナーでは治療し切れない」などと言う向きもあるが、果たしてどうだろうか。 本論文では、補綴治療・インプラント治療を多く手がけてきた筆者の立場から、アライナーが得意・不得意とする症例をもとに、包括的歯科治療に必要なアライナー矯正治療の基礎知識と治療計画の立案方法を供覧したい。71長尾龍典 NAGAO Tatsunori, D.D.S. ながお歯科クリニック 〒606-8274 京都市左京区北白川大堂町5 連絡先 E-Mail: info@nagao-dental.comJournal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2023 vol.3 issue 6長尾龍典 近年、歯科治療の領域において、アライナー型矯正装置の導入が広がりつつある。そして、患者にアライナー矯正治療が広く知られるとともに、矯正歯科治療を含めたカウンセリングが必要となってきている。特に補綴治療やインプラント治療の計画を立案する際、前処置としてアライナー矯正治療を行うアプローチが受け入れられるほどに患者の意識が変化してきた。こうしたアライナー矯正治療の活用は、歯科治療の新たな展開を可能にする重要な要素となりつつある。これは患者意識の変化だけによるものではなく、術者側にとってもアライナー矯正治療の「お手軽さ」が患者に勧めやすく、カウンセリングやコンサルテーションに取り入れやすくなったことも一因であろう。 一方、アライナー矯正治療の「お手軽さ」の弊害も聞かれる。技術や知識が不足しているにもかかわらず治療を進め、相談や検証を重ねず、中途半端な状態で終長尾龍典補綴治療・修復治療前の矯正歯科治療の重要性 筆者がよく思い出すのが、「補綴設計を行うにあたり、この患者さんには矯正歯科治療が必要でしょうか?」「矯正診断を行うにあたり、この患者さんには補綴治療が必要でしょうか?」という2つの問いである。これらは、筆者がフルマウスリコンストラクションで治療を行ううえでの指針になっている。また筆者は、LytleとSkurowの修復治療の分類(次ページ図1)1を治療の基礎として考えている。矯正歯科治療は始まると現在の咬頭嵌合位が変更されるため、咬合再構成、つまりフルマウスリコンストラクションとしてとらえている。治療途中でワイヤーベンディングを行うこと日本版オリジナルページメソッドプレゼンテーション & 症例報告緒言修復治療の前処置としてのアライナー矯正治療(前編)
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