adfibegjch 下顎第一小臼歯抜歯後の下顎枝矢状分割術(顎矯正手術としても知られている)や、オトガイ隆起部の形成術などの外科的矯正治療の選択肢があれば患者の顔貌は改善されたであろうが、患者の主訴(下顎後退を気にしておらず、歯並びの改善と前突を少なくすることだけを求めていた)を考慮し、適応されなかった。 そこで選択された治療法は、歯内療法的な問題があった下顎両側第一小臼歯と上顎両側第二小臼歯(特に治療ずみの上顎左側第二小臼歯で歯根吸収の徴候が認められた)の4本抜歯による代償的な矯正歯科治療であった。この治療法により、患者の主訴に沿った正中線の一致、歯列のアライメント、臼歯関係の改善および前歯部前突の軽減が確保された。不調和な補綴・修復治療を受けた臼歯部は矯正歯科治療終了後に修復し、緊密な咬合を獲得することとなった。 患者には上顎右側第三大臼歯の抜歯を勧めたが、拒否された。患者の審美的な要求を満たすために選択された装置は、Invisalignのアライナーであった。図3 臨床歯科医が承認した初回Clin Check(a-e:治療開始時、f-j:最終アライナー装着時)。14MOLINARI et alJournal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2024 vol.4 issue 2
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