Journal of Aligner Orthodontics 日本版 2024年No3
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Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2024 vol.4 issue 3村上久夫 Hisao Murakami, D.D.S. 村上矯正歯科 〒852-8135 長崎県長崎市千歳町2-18 連絡先 E-Mail: murakami@kyousei.name緑で示される軽度の移動は予測実現性の高いアプローチ、青で示される中等度の移動は予測実現性にばらつきのあるアプローチ、黒で示される複雑な移動は予測実現性の低いアプローチを示す。[インビザライン・ジャパン社資料より引用改変]108 Ⅱ級不正咬合に対するアライナー矯正治療におけるIPR、Ⅱ級シミュレーションジャンプ、大臼歯の遠心回転について述べた前号に引き続き、順次遠心移動について解説する。抜歯や下顎前方誘導装置(MA)を使用した治療方法については、別の回で述べる。 なお、前回も説明したが、システム提供元よりⅡ級治療難易度別の分類表が提供されているため、参考としたうえで治療方法を選択すると良いだろう(表1)。 順次遠心移動は、アライナー矯正治療において前後的関係を改善する目的で行われ、最後臼歯から歯を順番に後方へ移動させる方法である1。まず、最後臼歯表1歯の移動種別によるⅡ級不正咬合の治療難易度分類A-P(前後)関係の改善小臼歯抜歯遠心移動近心移動<2mmなし<2mmなしを遠心方向に動かし、次にその前方に隣在する2番目の歯、さらにその前方に隣在する3番目の歯と順番に移動させることにより、Ⅱ級関係の犬歯・臼歯関係をⅠ級に改善することができる(図1)。 文献においても、アライナーによる順次遠心移動は、予測実現性が高い(88%)とされている2,3。また、その遠心移動量に関しては、臼歯部がコントロールされ、下顎の開大をともなわずに2.25~2.5mmの歯体移動が可能であると報告されている4,5。遠心移動時に用いるアタッチメントは、第二大臼歯まで垂直長方形のものを設置するのが有効であるというものと6,7、アタッチメントの有無に関係なく高い4という2つの報告が存在する。2~4mm<4mmなし<2mm>4mmあり>4mm>2mm軽度 中等度 重度第3回順次遠心移動について日本版オリジナルページ [連載] Force driven aligner orthodontics 適切なアライナー矯正治療のノウハウを身につける村上久夫 [長崎県・村上矯正歯科 / 長崎大学歯学部臨床准教授]Ⅱ級不正咬合に対するアライナー矯正治療[2]

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