JAO[Journal of Aligner Orthodontics]日本版 2024年No.5
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a図4 治療目標および重ね合わせ。バイオプログレッシブ法では、5つの重ね合わせで7つの評価を行う。S1ではチンコントロール(=下顎位)、S2ではA点のコントロール(=上顎骨)、S3では下顎大臼歯のコントロールと下顎前歯のコントロール、S4では上顎大臼歯のコントロールと上顎前歯のコントロール、S5では顔面軟組織、プロファイル、E-lineの変化を評価する。a: 正面セファロトレースに基づくVTP。上下顎歯列弓の側方拡大(下顎臼歯部は頬側へのアップライト)、上顎前歯部の圧下、上顎歯列正中線の改善を図るb: 側面セファロトレースに基づくVTP。下顎は後下方への開大(時計回りの回b***c**黒:治療前  赤:治療目標Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2024 vol.4 issue 5転)、上顎前歯部の圧下とトルクコントロールを図るⅠ級正常正常AngleⅡ級、シザーズバイト、過蓋咬合、顔面・歯列正中線の不一致前後的位置:正常、空隙歯列前後的位置:正常、叢生U字型であるが狭窄傾向にある。顕著なSpee湾曲とWilson湾曲を有するプロファイルはストレートタイプで、口唇閉鎖時にオトガイの緊張を認めるガミースマイルで、バッカルコリドーが狭いクレンチング、低位舌、TCHなどCCポイント:facial axisとNasion-Basionの交点 S1:CCポイントを基準としたNasion-BasionS3:PMを基準としたXi-point-PM39アライナー矯正治療における診断・治療目標・治療計画の重要性DolicoMesioBrachyoS2:Nasionを基準としたNasion-BasionS4:ANSを基準としたANS-PNSS5:E-line◦フェイシャルパターン(垂直的)ブレーキーフェイシャルパターン(短顔系)◦骨格パターン(前後的)◦骨格的問題:上顎(前後的)◦骨格的問題:下顎(前後的)◦Angle分類による診断◦歯系の問題:上顎前歯部◦歯系の問題:下顎前歯部◦歯列弓形態◦顔面軟組織◦スマイル◦機能的問題図3 機能的問題を含めた本症例の診断結果。右図はEvaluation of Facial Patternと呼ばれる根津、永田、Guginoが開発した、顔面における垂直的関係を評価した図(ベルカーブ)である。Ricketts分析から5つの分析(FX[facial axis]、MP[mandibula plane]、LFH[lower facial height]、MA[mandibula arc]、TFH[total facial height])を用い、それぞれ標準値から外れた値(偏差量)の総和でDolico(長顔系)、Mesio(中顔系)、Brachyo(短顔系)に分類し、さらにそれぞれの垂直形態の程度を±1CD(clinical deviation)~±5CDまでに分類して個別の深刻度を評価する。本症例はBrachyo+3~4CDと評価した(★印)。

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