平岡孝文平岡孝文 HIRAOKA Takafumi, D.D.S.府中けやき通り矯正歯科 〒183-0056 東京都府中市寿町1丁目1-11 第2福井ビル 連絡先 E-Mail: fuchu.keyakidori.kyosei@gmail.comJournal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2024 vol.4 issue 5キーワード アライナー型矯正装置、上顎前突、遠心移動、抜歯治療、固定源、成長期 1945年、アライナー矯正治療の基本コンセプトといえるトゥースポジショナーを発表したKesling1の予測をトレースするかのように、アライナー矯正治療は1997年に登場したAlign Technology社がCAD/CAM技術を利用したInvisalignアライナーを提供することで飛躍的に進化し、現在では多くのメーカーからさまざまな材料でアライナーが製造・提供されている。 そして、口腔内スキャナー(以下IOS)の精度向上と3Dプリンティング技術の進歩により、アナログ印象と石膏模型を用いた伝統的なワークフローに代わって、IOSによるデジタル印象と3Dプリンタで造形された歯列モデルに熱可塑性樹脂シートを重ねて熱成形するアライナー製作が可能となった。また現在では、歯列モデルなしに3Dプリンタから直接プリントするダイレクトプリントアライナー(DPA)も存在する2。こうしたデジタル機器を用いることで、歯科医院内で製造できるアライナー型矯正装置を、インハウス(インオフィス、インラボとも)アライナーと総称する。近年では3Dプリンタの低価格化やソフトウェアの普及にともない、アライナーを院内製造することが比較51平岡孝文日本版オリジナルページ論説はじめに“At present this type of treatment does not seem to be practical. It remains a possibility, however, and the technique for its practical application might be developed in the future.”このような治療法は今のところ現実的ではないが、将来的に実用化するための技術が開発されるかも しれない。Harold Dean Kesling , 1945.Harold Dean Kesling (1901–1979)インハウスアライナー矯正治療の現在地とその未来(前編)インハウスアライナー概論
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