JAO[Journal of Aligner Orthodontics]日本版 2024年No.5
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岩田直晃岩田直晃 IWATA Naoaki, D.D.S.アールエフ矯正歯科 〒113-0033 東京都文京区本郷1丁目33−6 GEMINISⅡ 2階 連絡先 E-Mail: iwata@rf-ortho.comJournal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2024 vol.4 issue 5キーワード アライナー型矯正装置、早期治療、叢生、反対咬合、遠心移動、患者指導に対する矯正歯科治療とその取り扱いについて、アライナーを中心に述べていく。より再現性の高い治療をと研鑽を積み続けてはいるが、提示するメソッドは筆者自身の臨床経験から得られたものであり、学術的なエビデンスに基づいてはいないことに注意されたい。そのため、前述のように患者個別の対応が非常に重要であることを前置きしておく。そうした患者個別の対応と治療が良好に奏効した症例3例とともに、適応症例や用いる装置、介入時期について述べていく。 早期治療とはⅠ期治療ともいい、乳歯列期、混合歯列期に上下顎咬合関係の改善に加えて、歯列や顎の成長発育を阻害する因子を取り除くことを目的とし、矯正装置を用いて歯列修正や育成に矯正歯科が介入することである。こうした早期治療の目的を、患者本人はもちろん保護者に対して明確に伝えることは非常に重要である。早期治療を受ける患者は成長期にあり、骨格、歯列とも変化が多く、治療のゴール設定を曖昧にしていると治療期間の延長や患者・保護者への必要以上の負担を強いることになりかねない。また、早期治65岩田直晃 早期治療の是非についてはさまざまな意見があるが、現在のところ何が正しいということを明確に示すことは難しい。それは、患者ひとりひとりの歯並びの状況や生活環境、性格、保護者の要望など、さまざまな要因が関係するからである。そのため筆者は、来院患者が混合歯列期など永久歯列完成以前であれば、患者ごとに早期治療を行う場合と行わない場合とそれぞれの治療の流れや方法、目的、メリット・デメリット、タイミングを患者および保護者に説明し、熟慮のうえ選択してもらうようにしている。当院では、将来的な歯並びへの影響や抜歯のリスクを心配し、早期治療の開始を選択することが多い。患者が早期治療を選んだ後も、さらによくその目的や目標設定、患者指導、Ⅱ期治療の必要性を明確に説明し、理解してもらう必要がある。 本稿では、当院における永久歯列完成期以前の患者日本版オリジナルページメソッドプレゼンテーション & 症例報告はじめに早期治療の目的永久歯列完成期以前の矯正歯科治療アライナーを中心に、適応症例と装置、時期を探る

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