nico 2月
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WHY?1010QA先週、むし歯を削って詰めました。なのにまだ少しシミて、気になっています。治療がうまくいかなかったのでしょうか?感染した象牙質を取り除いて詰めるには、象牙質を通る細い神経の末端もいっしょに削り取らざるを得ないのです。自然に症状が治まることがほとんどなのでしばらくは様子を見ていきましょう。詰めたあとにシミるって、なぜ? 象牙質まで進んだむし歯を治療する際、さいわい神経を取らずにすんだ歯に、治療後冷たいものがシミる、違和感がある、強く噛むと痛いなどの症状が出ることがあります。治療自体はうまくいっているのにシミてしまうわけをお話しするには、まずは象牙質の構造の説明が必要でしょう。 健康な歯は硬いエナメル質で覆おおわれています。ところがエナメル質に穴が開くと、むき出しになった象牙質に加わるさまざまな刺激が神経に伝わるようになってしまいます。 ところで、象牙質への刺激がそのまま神経にまで伝わってしまうのはなぜなのでしょうか? じつは象牙質は、細いチューブを寄せ集めたような構造をしていて、その象牙質のチューブのなかを、神経(象牙芽細胞)から延びる細長い神経組織が通っています。つまり、象牙質がむき出しになるということは、「神経がむき出しになるのとほとんど同じこと」なのです。 治療後にシミるという症状も、やはりこうした構造が影響しています。むし歯を治療するには、細菌に汚染された象牙質を削って取り除きますが、じつはこのとき、チューブを通る細い神経組織の末端もいっしょに切り取らざるを得ません。むし歯の治療とは、生体を切除するいわば外科処置。治療後にしばらくシミるのはこういうわけです。 また、細菌がチューブから神経へと入り込んでいる場合、生体が炎症を押さえ込むまで軽い違和感があります。 しかしよくしたもので、刺激が神経に伝わり続けると、歯は刺激をシャットダウンするために、二次象牙質という防御機構を作り上げます。これには3ヵ月ほどかかりますが、二次象牙質ができると完全に症状が消え、新たに神経を取る治療を追加しなくても、様子を見ているうちに症状が消えてしまうことがほとんどです。 できる限り神経を保存し歯を長く使い続けるために、歯科医師といっしょに、しばらく様子を見ていただければと思います。

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