nico 2015年6月
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14HOW? 「フッ素を使う」と聞くと、「歯の表面をコーティングするのかな?」と思うかもしれませんね。でもフッ素の歯への作用はこれとはまったく別物。とても不思議なことですが、カルシウムイオンやリン酸イオンといっしょに歯の結晶(フルオロアパタイト)を作り、歯そのものとなって脱灰を修復するのです。しかもその働きがとてもスピーディです。 歯みがき後、口のなかに残った微量のフッ素は、歯の表面や唾液に留まるだけなく、プラーク(細菌のかたまり)にもシッカリしみ込みます。プラークはむし歯や歯周病を引き起こす諸悪の根源。きれいにみがいたつもりでも、取りにくい歯の溝や歯間などに残りがちです。フッ素はこれを逆手に取り、取り残しのプラークをフッ素の貯蔵庫として利用するのです。してやったりです。 このフッ素の働きを実験室で細かく調べているうちに、おもしろいことがわかってきました。どうやらフッ素は、唾液が酸性のときもセッセと働くらしいのです。 カルシウムイオンとリン酸イオンを入れたpH4.3(オレンジジュースとトマトジュースの中間くらいの酸性度)の液体のなかに、1ppm(0.0001%)のフッ素を加え、3日間の脱灰実験を行ってみました。するとなんと歯はまったく溶けていなかった。カルシウムイオンとリン酸イオンを引き連れたフッ素が、脱灰量に相当する分の結晶を作り、歯に沈着してくれたのでしょう。 本来、酸性のなかでは歯は溶ける一方。しかしフッ素があれば酸性下でも再石灰化が進み、脱灰と再石灰化の平衡状態を保つことができる。とても頼もしい働きです。 さらに特筆すべきは、こうして歯に沈着した結晶(フルオロアパタイト)がふたたび脱灰し唾液のなかに溶けるときには、フッ素がイオン化し放出されるということです。つまり歯自体がフッ素の貯蔵庫でもあるのです。長期間使えば使うほどむし歯予防効果が複利で増えるのは、こうしたことも関係しているのかもしれませんね。フッ素で再石灰化がスピードアップ!QAフッ素の作用って、フライパンのフッ素加工みたいなものですか?表面コーティングとは全くの別物です。フッ素がミネラルイオンと結晶を作り歯の一部となって修復してくれます。この再石灰化のスピードが速いので歯の修復がスピーディに進みます。フッ素とミネラルイオンが結晶化したフルオロアパタイトフッ素カルシウムイオンリン酸イオン
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