nico 2015年12月
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12WHAT?プラークの恐るべき正体とは。QAプラークのなかに棲む細菌はむし歯や歯周病のほかにどんな悪さをするのですか?プラークのなかで増殖した細菌たちは、さまざまな毒素を作り出して私たちのからだを攻撃します。細胞を傷めつけ免疫細胞をかく乱して体内をめぐり、病原性を発揮します。 歯にベッタリとついたプラーク。このなかに潜む細菌がいかに凶悪か、みなさんに本当のことをぜひ知っていただきたいと思います。じつはプラークのなかに棲んでいる細菌は、さまざまな毒素を作りだし、私たちが知らないうちにからだを傷めつけているのです。 とくに歯周病のかたの歯周ポケットのなかには、グラム陰性菌(歯周病菌など)がウジャウジャいます。この細菌たちは外膜に内毒素を作っていて、この内毒素が血流に乗ってからだのなかに入ることによって、病原性を発揮してしまうのです。 歯の周りには内毒素と結合するレセプターがたくさんあります。また、細菌をやっつけようと集まってくる免疫細胞もかく乱され内毒素を体内へと持ち込んでしまうため、内毒素は容易に血流に乗り、体内へと運ばれてしまうのです。 その結果どんなことが起きるかというと、細胞が壊れ、発熱し、血液が固まり、血流が悪くなってしまいます。多量の内毒素が血中にドッと入り込むとショック状態を起こすこともあるのですが、通常はジワジワと送り込まれているので、気づかぬうちに歯周病や動脈硬化、糖尿病、早産などの引き金が引かれてしまいます。 怖ろしいことに内毒素の威力は細菌が死滅しても弱くなることがありません。菌体が壊れた場合でも、内毒素は小さな破片になって血流に流れ込み、病原性を発揮します。 細菌の恐るべき内毒素。じつはインフルエンザウイルスの感染に手を貸して、わたしたちの健康をおびやかしていることまでわかってきました。それがいったいどのような仕組みで行われるのか、つぎのページで解き明かしていきましょう。

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