nico 2016年7月
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10WHAT? マウスピース矯正では、歯が目標の場所に動くようマウスピースを設計し、目標まで動いたら次のマウスピースに替えることによって順次歯を動かしていきます。 患者さんの歯並びは一人一人個性があり、これをきれいに並べよい噛み合わせにするには、適正な力を加え、歯の動きを計算通りにコントロールする必要がありますが、さまざまな角度、さまざまな位置に生えている歯を、目指す位置にスムーズに動かすには、じつはワイヤーを使った従来の治療のほうがずっと簡単で、確実です。それは、歯にさまざまな角度から適正な加減で力を加えられ、しかもコントロールしやすいからです。 それに対してマウスピース矯正は、驚くほどの進化を遂げているものの、まだまだ苦手な仕事があります。 そのひとつが、歯の大きな移動です。抜歯して歯を大きく動かすことは、ワイヤーを使う矯正にくらべだいぶ苦手です。また、歯を押し込むのは大得意ですが、引っ張り出すのは苦手。歯の向きを回転させるのも不得手です。意外な弱点は、移動させる方向へと倒れている歯をまっすぐに立てて並べるのが苦手なことです。 もちろん患者さんのなかには、テクニックを駆使せずともスムーズに治るケース(↓14〜15ページ参照)もあります。しかし残念ながらそんなケースばかりではありません。そうした場合、補助装置(↓11ページ参照)を使ったり、目立たないように奥歯や側面だけワイヤー矯正で動かしておき、目立つ前歯をマウスピース矯正で治すなど、さまざまな引き出しを使い、それを組み合わせて治療を行います。 マウスピース矯正の治療が、じつは意外と難しいというのは、こうしたわけです。矯正学会の定めた研修をきちんと修了し、矯正治療の経験が豊富で、マウスピース矯正による歯の動きを把握している歯科医師だけができる治療だといえるでしょう。Qワイヤーを使う矯正治療ほどは、歯がスムーズに動かないそうですがどういう動きが苦手なのですか?A抜歯して歯を大きく移動させること、力を加える方向に倒れた歯の移動など苦手な動きはいろいろあります。補助装置や従来の治療と組み合わせてこの欠点を補って治療していきます。苦手な治療ってどんなの?
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