的な変化(生物的進化)というより、育つ環境に順応した変化(文化的進化)の要素が大きいのではないかと考えています。有田 ただこの変化、6歳臼歯のむし歯予防には役に立つ面もあるなと思っているんですよ。へえ、むし歯予防に?有田 そうなんです。6歳臼歯といえば、これまではいちばん最初に生えてくる永久歯であり、むし歯にしてしまいやすい歯の筆頭でした。なぜかというと、左の絵のように、乳歯列の奥にひっそりと生えてくるので、親御さんもお子さん本人も生えてきたことに気づきにくいんです。 乳歯の奥歯のさらに奥は、それまで歯がなかったところなので、歯ブラシを当てる習慣が当然ながらないですし、生えたての歯は軟らかくてむし歯になりやすいですからね。気づいた頃にはむし歯になっているケースがとても多いんです。たしかに! 私も子どもの頃から詰め物が入っています。有田 しかも生えはじめは、歯に段差もあってプラーク(細菌の塊でむし歯の原因)が溜まりやすいですし、歯ぐきが被さったまま生えてきたりすると歯みがきがしにくい。咀嚼のかなめとなる大事な奥歯なのに、ほとんどのかたが大人になるまでにむし歯にしてしまいます。うーん、困りますね。有田 でも、前歯が先に抜け替わってくれるようになると、とても目立つので「永久歯が生えはじめた」と親御さんもすぐに気づきます。そうすれば「つぎは6歳臼歯が乳歯の奥に生えてくるぞ」と備えることができるでしょう?なるほど! 有田 「永久歯の生えはじめが6歳臼歯から前歯に変わってきたこと」を多くのかたに知ってもらい、むし歯予防に役立てていただければ、6歳臼歯のむし歯を減らせるかもしれません。それはいいですね!有田 永久歯のむし歯予防は、生えたあと3年がとくに重要です。生えたての永久歯は軟らかいですが、フッ素(フッ化物)を使いながら守って歯の生える順番の変化をむし歯予防に役立てたい!6歳頃の乳歯と永久歯段差があってみがきにくい!乳歯(水色)の下で永久歯(白)が育って生え替わっていきます。生えはじめの6歳臼歯は段差があり、歯ブラシが届きにくいです。歯科で歯みがき指導やフッ素塗布を受けて守っていきましょう。乳歯の奥歯のさらに奥に生えてきた6歳臼歯。歯ぐきを被って生えることもあり、周りにプラークが溜まりやすいです。乳歯永久歯6歳臼歯6歳臼歯6歳臼歯むし歯に!432021年8月号
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