先月の「前編」は、接着材のお話でしたが、白い詰め物についてもお伺いしたいです。田上 接着材だけでは、接着技術による治療は完結しませんからね。この後編では、前回に時間切れで話せなかった充填材「コンポジットレジン」についてお話ししましょう。よろしくお願いします!田上 「コンポジットレジン」は、セラミックの微小な粒子を樹脂で固めたものです。コンポジットは「複合」、レジンは「樹脂」のことで、日本語にすると「複合樹脂」ですね。なるほど。田上 樹脂にもいろいろな種類があって、たとえば、炭素繊維・ガラス繊維と固めたのが、飛行機の機体などに使われている軽くて丈夫な炭素繊維強化プラスチックです。一方、歯科の治療に使うコンポジットレジンは、セラミック(フィラー)と固めてあります。日本は古くから焼きものが盛んで、セラミックの高度な技術を持っていました。この技術が応用され、象牙質と同程度の強度で、色も透明感も歯と調和するように作られているんですよ。ところで、コンポジットレジンも接着技術によって生み出された材料だそうですが、先月にお話しいただいた接着材と同じように、歯にくっつくのですか?田上 いえ、歯に接着する接着材と強固にくっつく材料です。歯と直接くっつくのではなく、接着材とくっつくのですか。田上 そうです。歯に塗った接着材が歯にガッチリくっついている。そこにペースト状のコンポジットレジンを盛って光触媒を使い反応させると、コンポジットレジンは接着材と一体となって結合します。へえ、一体となる?田上 じつは接着材の成分も樹脂で、コンポジットレジンの成分ととても相性がいいんです。お互いが分子レベルで結合するので、この結合はたいへん強固で、「異なる者同士の接着コンポジットレジン分子レベルで結合接着材象牙質回復させる歯科材料歯の形と色を40接着材とコンポジットレジンが分子レベルで結合し一体化するので、隙間ができません!セラミックの微細な粒子(フィラー)を樹脂で固めたもの。ペースト状で、光を当てると固まります。 コンポジットレジンとは?接着材と一体化する充填材、コンポジットレジンの真価は二次むし歯を抑制するその封鎖力にあります!
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