nico 2022年8月号
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いるのがつらい?治療中にお口を開けてこの2つの筋肉が舌骨と喉頭にある軟骨をグッと上げることで飲み込むことができるのです。同じ筋肉が上げたり下げたりしているのですね。柳田 そうです。この2つの筋肉は開口と嚥下に欠かせない大事な筋肉で、この筋力が弱ると、口を開ける力も飲み込む力も、両方衰えちゃうんです。なるほど。なぜ関連するのか、納得です。戸原 ただここで気を付けてほしいのは、開口といってもお口がゆるんでポカンと開いているような開口ではないことです。お口がポカンと開くのは筋肉の弛緩によるものですから、筋力は必要ありませんからね。たしかにそうですね。柳田 私たちの研究で言っている開口とは、頑張って大きくお口を開けることです。というと、ちょうど歯医者さんで奥歯を治療してもらうときみたいな開けかたでしょうか?柳田 まさにそれです。戸原 ご高齢の患者さんのなかには、歯科診療のときお口を頑張って開けているのが、以前よりつらくなってくるかたがおられると思うんです。たしかに、以前ベテランの歯科衛生士さんにお話をうかがったときに、ご高齢の患者さんのお口のクリーニングでは、お口を長く開けていただくことのないように気を付けているとおっしゃっていました。戸原 さすがの気づきですよね。その気遣い、すごく大事だと思います。お口に水が溜まるとむせるから、バキュームで最大限こまめに吸い取るのだともおっしゃっていました。戸原 その歯科衛生士さんのお話、今回の研究の核心を突いています。歯科を受診される患者さんの開口力と嚥下機能を実際に調べたわけではないので断定はできませんが、治療中の開口が苦手な患者さんは、飲み込む機能も低下してむせやすい可能性は大いにあります。お困りのかたいませんか?水が溜まるとむせそうになる2022年8月号41水やつばが少しでも口に溜まってくるとむせそうになって苦しくて仕方がない。若い頃とくらべて、歯科診療中にお口を開けているのがつらく、すぐにあごが疲れてしまう。飲み込み機能にイエローカードかも?お口を開けているのがつらい

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