nico 2022年10月号
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冷たいものや甘いものがしみるわけ231 知覚過敏症)のおもな原因です。 歯ぎしりでエナメル質の表面がすり減ったり、歯周病や過度の歯みがきなどで歯ぐきが下がると、いままで隠れていた象牙質がむき出しになり、象牙細管も露出します。この露出した象牙細管が、知覚過敏(象牙質露出した象牙細管は刺激の通り道となります。管の穴からは、異物や細菌が内部に入ってこないように、歯髄から外側へと常に歯髄液がしみ出しています。このとき、冷たい・熱いという刺激や、歯ブラシなどの物理的刺激、細菌などの異物による刺激が加わると、象牙細管内の歯髄液の流れに変化が生じます。これが歯髄に伝わることで、痛みとして知覚される=知覚過敏となります。 また、砂糖(スクロース)が象牙細管の近くに存在するときも、糖の濃度勾配を相殺しようと、歯髄液の流れ出すスピードが速くなります。これも痛みとして知覚されます。13※わかりやすいように象牙細管は実際より拡大して示しています。露出した象牙細管(電子顕微鏡で撮影)そこに冷熱や甘味、歯ブラシ、細菌などの刺激が加わると……象牙細管内を移動する歯髄液のスピードが増し、痛みとして知覚されます。象牙細管内では、常に歯髄から外側へと歯髄液が流れています。冷熱甘味歯ブラシ細菌刺激痛み!歯髄液の動きが活発化エナメル質象牙細管歯髄液歯ぐき象牙質PICK UP!象牙芽細胞歯髄2022年10月号歯髄液の動きが活発化する刺激が加わる知覚過敏の起こるしくみ象牙細管が露出する象牙細管歯の象牙質全体に分布する、直径0.8~2.2マイクロメートルの細い管。象牙質内には、無数の象牙細管が歯髄から放射状に伸びています。管のなかには象牙芽細胞と組織液(歯髄液)が含まれ、これらが象牙質をつくり維持しています。

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