インプラント体と結合していた骨が失われてグラグラになったり抜けてしまいます。それに、インプラントの上部構造は消耗品です。噛む力はたいへん強いですから、小さな上部構造が欠けたり割れたりしてくることもあります。なるほど、インプラントって、歯科にかかりながら維持していくものなのですね。インプラント専門医の先生が、依頼のあったご家庭や介護施設に訪問してインプラントの修理やケアをしておられるのは、そういうお困りごとを抱えるかたのためなのですね。萩原 ただ、残念ながらインプラントの専門家が訪問診療を行っている率は高くありません。私の経験からお話しすると、「年齢とともに歯科医院に通うのがしんどくなってきた」「以前はできていた細かな歯みがきが苦手になってきた」となる前に、将来ご家族や介護施設のスタッフに歯みがきしてもらうことを想定し、準備をはじめることをおすすめしたいです。超高齢化社会で、高齢者の萩原 インプラントは、歯科で定期的にメインテナンスを受けていただいて、プラークや歯石を取ったり修理をしながら長期的に維持していくことを前提とする治療法です。インプラントにくっついたプラークや歯石を放置すると、歯周病と同じような炎症が起きてしまいます。インプラント周囲炎ですね。萩原 そうです。炎症が進行すると、インプラントも増加中020406080インプラント周囲炎表面の欠け上部構造が取れたネジのゆるみグラグラするインプラント体が壊れたお掃除が難しい粘膜を傷つけたその他上部構造が取れている9%上部構造が欠けている9%清掃しやすいボーンアンカードブリッジ6%清掃しやすいオーバーデンチャー10%訪問診療を受けているかたのインプラントを調べました。訪問診療を受けているかたのインプラントの状態とお困りごとを調べました。すると60%の患者さんにインプラント周囲炎が見られ、清掃が難しくなっていることがわかりました。萩原芳幸、武内博朗「訪問歯科診療(在宅・老人保健施設)におけるインプラントの実態とその問題点」はち・まる・にい・まる、2018; 17:144-145.ふつうのインプラントで破損していない60%42訪問診療を受けている患者さんのインプラントは?訪問診療を受けている患者さんのお困りごとは? 「歯医者さんに通えなくなったらインプラントのケアはどうすれば?」こんなお困りごとに備えて対策を打ちましょう!
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