臨床再考
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78PartⅢ根面の被覆適応 歯肉が退縮して根面が露出し,レジンやグラスアイオノマーセメントで充填され,しかも二次う蝕になっている場合,どのような治療法を選択するべきであろうか.もう一度レジンで修復し直すというのも一つの手段かもしれない.しかしよく考えてみると,本来そこには軟組織が存在して根面を被覆していたはずである.軟組織が退縮しているということは,その下にあったであろう硬組織(歯槽骨)も退縮しているのである.そして露出した根面は象牙質ではなくセメント質で,本来は内部構造であるものが外部にさらされている状態と考えることもできる. また,審美的な要求の多い部位に長さの違う修復物というのも,当然患者には受け入れられない事実であろう.露出した根面の被覆には歯肉弁歯冠側移動術と上皮下結合組織移動術の併用が一般的であるが,口蓋から結合組織を採取しなければならないので,術創面が2か所になるため患者の了解を得ることが難しい. そこで,根面被覆処置に対する術式として,半月弁切開移動術(semilunar coronally repositioned fl ap)にレーザーを用いると,手技を簡素化することができるのでここに紹介したい.半月弁切開移動術★歯肉溝切開は順次深く形成し,半月部と交通するまで行う.cba 歯肉弁歯冠側移動術のひとつで,Millerの歯肉退縮の分類Ⅰ級にあたる浅い根面の露出(1~3mm)を対象とする.歯肉溝切開と半月弁の形成により,歯肉を歯冠側へ移動する.通常,縫合を必要としない.

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