インプラント外科
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インプラント外科基本手技と自家骨移植のポイント8 インプラント埋入に際しては,切開・剥離を行うfl ap surgeryと,抜歯即時埋入や切開・剥離を行わないfl apless surgeryの2つに大別される.切開1flap surgery水平切開 骨造成を行わなければ,歯槽頂のどの部位に切開を加えてもよいが,骨造成を行う場合は角化粘膜の範囲内で歯槽頂よりも唇(頬)側を切開すべきである1(図1).欠損歯槽頂部のどの部位に水平切開を加えるかは成功の大きな鍵であるが,大半の先生方は間違った部位:口蓋(舌)側に切開を加えていることが失敗の大きな原因の1つである.口蓋(舌)側切開はインプラント埋入のみの場合では,唇(頬)側fl apのみを把持すればよいので重宝する切開であるが,骨造成を行う場合は最悪な切開である(その理由などは第2章 骨造成術のポイントのp44で詳細に解説している). 骨膜も同時に切開するので,無歯顎は#15メスを,有歯顎は#15cメス(#15より小さいので歯肉溝切開が行いやすい)を,刃の先端ではなく,湾曲部を骨に当てるようにし,決して#11は用いるべきではない(表1,図2). 切開の際は,メスの刃を常に骨面に接触させた状態でメスを動かすべきである.鋸で木を切るように押したり引いたりする(sawing motion)先生が多いが,これでは切れる所と切れない所ができてしまい,剥離の際に粘膜が挫滅する危険性があるので,よくない切開法である(図3).また,歯肉溝切開の際は,歯槽骨頂にメスを入れ,決して歯にメスを当ててはいけない(図4,5).歯槽頂水平切開図1-1 歯槽頂より唇側での水平切開.骨造成の際にはこの切開でないと創哆開の確率が高くなる.図1-2 歯槽頂中央での水平切開.図1-3 歯槽頂より口蓋側での水平切開.唇側flapのみを把持すればよいので,骨造成をともなわないインプラント埋入の際には重宝する切開線だが,骨造成を行う場合は最悪な切開である(その理由等は第2章 骨造成術のポイントのp44).
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