The 悩める歯科衛生士
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通院が中断してしまう患者さんにどうアプローチすればいい?85再初診時の口腔内そして、それらをお見せし説明すると、Yさんはご自身の現状を理解されたようでした。 続いて、SRPについても理解していただこうと、唇側面に沈着していた歯肉縁上歯石を手鏡で見てもらい、除去する方法を説明しながら、手用スケーラーで除去しました。除去した歯石をお見せすると、“黒い物は何かな?むし歯かな?”と以前から気にされていたようで、それが歯石であることを知り、「むし歯でなくて良かったわ」と喜ばれました。また、歯石除去は痛くないということを実感されたようでした。 これを受け、再度歯石除去をしないと、Yさんが気にされている歯肉腫脹・出血は治らないことを説明したところ、歯周基本治療に対しての理解が得られ、次回主訴であるのSRPを行うことになりました。 そして、後日SRPを行う前に前回行った処置や説明について疑問点がないかたずねたところ、「大丈夫です」という返事があり、無麻酔下で処置を行いました。これは、Yさんの痛みを術者が感じやすいようにするためで、術中も痛みを我慢されていないか、つらいのに無理されていないかなど、何回か声をかけながら行いました。術後、痛みはないとのことでしたが、炎症も強く出血が多かったため、2、3日は浮いた感じがあるかもしれないことを説明しました。さらに、SRPによって歯間空隙ができたことで、食物残渣が増えてしまい、歯肉改善の妨げにならないよう、歯間ブラシをお渡ししました。これを受け、Yさんは安心されたのか、引き続き歯周基本治療の同意を得ることができました。3資料収集 次の来院時には、歯周基本治療をいったん休み、資料収集を行いました。口腔内は、舌側歯頚部にプラーク付着、全体に歯肉発赤・腫脹が認められました(次ページ図3)。 エックス線写真とプロービング検査から、全顎的な水平性骨吸収、は根尖近くまで垂直性骨吸収が認められ、全顎的に多量の歯肉縁下歯石があ図2 再初診時のエックス線写真(2005年4月13日)。歯肉縁下歯石が多量に沈着し、水平性骨吸収も認められる。図1 再初診時の口腔内写真(2005年4月13日)。歯肉発赤・腫脹が著しく、自然出血がみられ、歯肉縁上・縁下ともに多量の歯石沈着が認められる。
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