脱・チタンエイジング
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461.はじめに 昨年行われたOJ 8thミーティングでは、インプラント生物学に関する多くの話題についてお話する機会に恵まれた。 オッセオインテグレーション研究の歴史からはじまり、基本的な定義に関すること、そして主としてわれわれの研究チームから出された所見を中心に、過去10年で明らかとなった新所見、そして、つい最近、つまり過去3~4年の間に明らかとなった重要な新事実、さらには次世代のインプラント医療に大きな影響を与えるテクノロジーの出現などをお話した。大ざっぱな時間軸で言うならば、オッセオインテグレーションの過去、現在、そして未来をお話したことになる。 一口に過去といっても、2000年以前と以降では、様相が異なるし、さらには、過去の3~4年の研究成果が公表されることになった2009年の前と後では、未来のインプラント医療に及ぼす影響に関する比重、切迫度に関する度合いがまったく異なってくる。 今回、事後報告としての論文をまとめるにあたって、内容はあまりにも膨大であった。よって、本論文では、オッセオインテグレーションの理解が飛躍的にすすんだ過去10年の成果、そして、それらをベースにすることにより可能となったつい最近の過去から現在に至る流れを中心にまとめることとした。まずは、過去10年間で、オッセオインテグレーションの学問にどのような変化があったのかを述べることから始めたい。オッセオインテグレーションのパラダイムシフト─骨結合生物学の研究からサイエンスへの進化、そしてその過程で発見されたチタンのバイオロジカルエイジング、今後のインプラント医療の発展に向けて─Paradigm shift in Osseointegration: Advancement from “research” to “science” and a discovery of “biological aging of titanium” offering a new horizon of implant therapy.小川隆広(William J. Gies Award受賞、UCLA 歯学部ワイントロープセンターおよび補綴学講座准教授(終身教授位)、骨・インプラントサイエンス研究チーム(LBIS)ディレクター)Takahiro Ogawa(Laboratory for Bone and Implant Sciences (LBIS) Weintraub Center for Recon-structive Biotechnology, Division of Advanced Prosthodontics, Biomaterials and Hospital Dentistry, UCLA School of Dentistry, Los Angeles, California, USA.)

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