口腔外科ハンドマニュアル’10
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99上部構造の装着時期Chapter1-2ントの2次的固定を得ることが可能となる.ATLAS即時荷重の適用基準と注意点現在までに即時荷重に関して多くの報告がなされており,極めて高いインプラント残存率(implant survival rate)が報告されている.しかし,それらの報告において,即時荷重の適用基準については,明確に記述されていないことが多い.筆者は以下の場合に即時荷重を行っている.① 骨組織の造成あるいはまた軟組織のマネージメントを必要としない.② 左右に連続した多数歯欠損(クロスアーチの欠損)で,複数のインプラントが直線的に配列していない.当然無歯顎症例はこの範疇に含まれる.③ 前歯部の少数歯欠損.④ 10mm以上の長さのインプラントを使用できる.⑤ インプラントの初期固定が十分に得られる.複数インプラント埋入の場合,すべてのインプラントの埋入トルクが35N以上,単独のインプラント埋入の場合には埋入トルクは40N以上.⑥ インプラントへの荷重をコントロールできる.食い縛り(clenching)や歯ぎしり(grinding)の悪習癖がない.中間欠損では,暫間補綴物の咬合面と対合歯との間に1mm程度のスペースを設ける.クロスアーチの症例においては,前歯部で咬合させ,臼歯部の咬合接触はさせない.⑦ インプラント埋入後,8週間は柔らかい食物を摂取するように指導する.中間欠損の補綴部位では噛まないように指導する.図11m,n あらかじめ作成しておいた暫間補綴物を装着した状態.インプラントにスクリュー維持用のアバットメントを締結し,その上に金属のシリンダーを装着し,準備しておいた暫間補綴物をシリンダーに即時重合レジンで固定する.シリンダーを内部に取り込んだ暫間補綴物を口腔外で仕上げて,装着する.この症例においては,最初の2か月は臼歯部は緩めに咬合させ,前歯部で咬合させた.2か月以降,臼歯部を含めて全体で咬合させるようにした.図11o インプラント埋入してから6か月後に,最終補綴物を装着した.図11p 最終補綴物装着後のパノラマエックス線写真.mmnnoopp

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