エナメル質・象牙質・補綴物のプロフェッショナルケア
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25第1部 プロケアのターゲットを探る晶が疎になっているようすが確認された。まるで、春先の溶けかかったザクザクした雪の固まりのようである。外形はかろうじて保たれているものの、強度の低下は容易に想像がつく。では、図7-1~3の部位に、不用意に器具があたるとどうなるであろうか? 一般的な超音波スケーラー(図8-1)を用い、10段階目盛りの3程度のパワーで脱灰部位にあててみたところ、いとも簡単に脱灰部位は崩壊してしまった(図8-2、3)。 これは、有機質に覆われて隠れているかもしれない白濁部への不用意なインスツルメンテーションは要注意であることを示している。プラークに覆い隠されているような部位への超音波スケーラーの使用は、日常臨床で十分想定できる場面であることからも、術者としては、常に「この汚れの下はどうなっているか」を考えて、処置を進める姿勢が求められるだろう。図8-1~3 脱灰病変に対するインスツルメンテーションの影響12図8-1 脱灰面にあてた超音波スケーラー。10段階の3程度のパワーであてている。3図8-2 脱灰部は、いとも簡単に崩壊してしまった。図8-3 超音波スケーラーのパワーを最大にすると、タービンで切削したかのように脱灰エナメル質は失われる。白濁部の深さは500µmにも及んでいたことがわかる。

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