エナメル質・象牙質・補綴物のプロフェッショナルケア
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83第3部 エナメル質のプロケア・新コンセプト 白濁にはさまざまなタイプがある。成因で分類するならば、・初期う蝕によるもの・エナメル質形成不全によるもの(図25-1)・フッ素症によるものなどがある。この中でナノケアの対象とするものは、初期う蝕によるものである。Chapter 5エナメル質への臨床応用例②エナメル質への臨床応用例②初期脱灰病変へのアプローチ初期脱灰病変へのアプローチ白濁の種類を見極める図25-1 エナメル質形成不全によると思われる白濁図25-1 エナメル質形成期に由来すると考えられる白濁は、ナノケアでは消せない白濁である。図25-2 石灰化異常による光沢を帯びた白濁図25-2 15歳女性。幼児期より3ヵ月毎に他院にて高濃度フッ化物の塗布を受けていた履歴がある。主因はエナメル質形成に元来の原因があると考えられるが、高濃度フッ化物の頻回使用に過剰反応した可能性も否定できない。このような石灰化異常も、ナノケアでは消せない白濁である。 さらに初期う蝕による白濁は、・脱灰進行中のものか・すでに表層部が再石灰化して光沢を帯びているものか(図25-2)を見極めることで、その後のケアの方針が決まってくる。 ナノケアのターゲットは、脱灰進行中の初期う蝕である。有機質溶解処理後、白濁部がくもって粗造感があれば、早急な対応が求められる。すなわち、ダイレクトにRENAMEL®を打ち込むようにして、エナメル質の崩壊の危機から脱出することが第一である42。 すでに再石灰化が進み、光沢のある表層の結晶が閉じたステージでは、白濁は残存するが、陥没の可能性を回避するよう、表層の硬度を高めていくようなアプローチをすることになる。
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