サイナスフロアエレベーション
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1234518第1章 CTが語るサイナスリフトの真実 サイナスリフトは外科的侵襲が大きく、上顎洞粘膜を剥離するという特殊な骨造成術である。また、手術の中断や術後感染などの合併症を生じた場合のリカバリーは容易ではないため、一発勝負の手術であることを認識しなければならない。そのため、術前診断が非常に重要であり、CT画像によって上顎洞の病変を精査せねばならない。万一、上顎洞に病変が存在している場合は原因を除去し、病変が治癒してからサイナスリフトを行うべきである。 欠損で、インプラント治療を希望し、紹介され来院した。パノラマエックス線写真で上顎洞は下方に発達し、歯槽頂部の骨吸収も認められたため、サイナスリフトと GBRが必要と考えられた(図1)。CT画像では上顎洞粘膜に腫脹があり(図2青矢印)、の頬側に未治療の根管が存在し(図3黄矢印)、根尖部にエックス線透過像が認められた(図4ピンク矢印)。さらに、口蓋根の根尖部にも病巣が認められた(図5緑矢印)。 上顎洞粘膜の腫脹は、の根尖病巣からの2次的な炎症と考えられ、薄く存在している上顎洞底の皮質骨は炎症の波及に対するバリアの役目は果たしていないと思われた。したがって、現状のままサイナスリフトを施行した場合、の病巣に起因する術後感染が危惧される。 本症例では、の根管治療を先に行い、上顎洞粘膜の腫脹が改善してからサイナスリフトを施行すべきと考えられた。CT画像により上顎洞粘膜の腫脹、未治療根管、根尖病巣が明らかになった例上顎洞の病変を見逃すな上顎洞粘膜の肥厚確認事項1Dサイナスリフトの落とし穴❶ 術前❷ 術中❸ 術後現状のままサイナスリフトを施行した場合、の病巣に起因する術後感染が危惧される。ここがポイント❶ 術前

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