サイナスフロアエレベーション
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136第1章 CTが語るサイナスリフトの真実 上顎洞の内側部を十分に挙上しても、内側の骨造成部が吸収する症例がある。原因は明らかではないが、上顎洞内側部が鼻腔底側に陥凹している場合に生じやすいと筆者は考えている。 欠損(図1)に対してサイナスリフトを施行した。術前のCT画像では、上顎洞は下方に発達し、内側では鼻腔底側に向かって陥凹していた(図2・3黄矢印)。 術直後のCT画像(図4、5)では、上顎洞内側部にも十分な量のβ‒TCP顆粒が填入されている(図5黄矢印)。 術後3ヵ月では、上顎洞粘膜の腫脹は消退し、β‒TCP顆粒も元の位置に戻っている(図6、7)。 術後6ヵ月では、サイナスリフト部の体積が若干減少し、内側部では新生上顎洞底と鼻腔側壁との間に間隙が生じているのが観察された(図9橙矢印)。 術後9ヵ月では、サイナスリフト部内側の間隙が6ヵ月と比較して大きくなっていた(図11ピンク矢印)。 術後1年にフィクスチャーを埋入したが、先端が内側部で穿孔しないように、埋入角度を調整した(図13緑矢印)。サイナスリフト部内側の間隙は1次手術後も徐々に大きくなり、術後2.5年ではフィクスチャーに近接するまで拡大していた(図16青矢印)。 一方、術後2年で、β‒TCP顆粒は皮質骨様と海綿骨様のエックス線不透過像を呈し、トラップドア部にもエックス線不透過性のラインが認められた(図15黄矢印)。内側の間隙が今後どうなるかについては不明で、CTでの経過観察は重要と考えられた。術後6ヵ月から生じ始めた上顎洞内側部の吸収上顎洞内側の粘膜を十分に挙上したにもかかわらず吸収が生じることもサイナスリフト部の体積が減少した症例実例から1術後6ヵ月では、サイナスリフト部の体積が若干減少し、内側部では新生上顎洞底と鼻腔側壁との間に間隙が生じているのが観察された。ここがポイントDサイナスリフトの落とし穴❷ 術中:CTでイメージトレーニング
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