サイナスフロアエレベーション
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171819202122579111315681012141667D.サイナスリフトの落とし穴 術直後~術後1年のCT画像(図5~16)。術直後の頬舌断CTでは、チタンメッシュの頬側に死腔が認められる(図6緑矢印)。本症例では減張切開を行っていないが、上顎洞の前壁が陥凹している症例では、創の閉鎖後にトラップドアの頬側に死腔ができやすい。 術後1週間のCT画像(図7、8)では著明な上顎洞粘膜の腫脹を認めたが、トラップドアの頬側にβ‒TCP顆粒は流出していない(図8青矢印)。また、トラップドアは、上顎洞粘膜の腫脹によって垂直に上方に持ち上げられていた(図8赤矢印)。さらに、術直後のCTで見られたβ‒TCP顆粒周囲の気体は、サイナスリフト部の上方に含気腔として集まっていた(図8黄矢印)。 術後3ヵ月のCT画像(図9、10)では、上顎洞粘膜の腫脹と含気腔は消退し、填入したβ‒TCP顆粒の体積に変化は認められなかった。術後6ヵ月のCT画像(図11、12)では、新生された上顎洞底にエックス線不透過性のラインが出現し(図12青矢印)、サイナスリフトの周辺部でβ‒TCP顆粒は小さくなっている。一方、上顎洞内側部で骨レベルが低下していた。現在、上顎洞内側部の体積減少について検討中であるが、術前のCTで上顎洞の内側が鼻腔底側に陥凹している症例で多く認められると考えている。本例の頬舌断CTでは、鼻腔底の高さで上顎洞の内側が鼻腔底側に陥凹しているのがわかる(図6橙矢印)。術後9ヵ月のCT画像(図13、14)では、β‒TCP顆粒の大きさはさらに小さくなっていた。 術後1年のCT画像(図15、16)では、新生された上顎洞底のエックス線不透過性のラインは明確となっていたが(図16緑矢印)、サイナスリフトの中心部にβ‒TCP顆粒が残存していた(図15赤矢印)。 術後1年にチタンメッシュを摘出し、フィクスチャーを埋入した(図17~22、DVD 06)。トラップドア部には硬い骨様組織が認められたが、同部にはβ‒TCP顆粒が残存し、顆粒は骨様組織に埋没していた。直径4mm、長さ13mmのフィクスチャーを4本埋入したが、すべてのフィクスチャーに十分な初期固定が得られた。術後経過:月単位術直後術後1週間術後3ヵ月術後6ヵ月術後9ヵ月術後1年術後1週間に著明な上顎洞粘膜の腫脹を認めたが、チタンメッシュでトラップドア部を強固に閉鎖したため、β‒TCP顆粒の流出は認められない。術後1年では骨造成部の体積が良好に保たれている。ここがポイントDVD06PLAY1年後フィクスチャー埋入
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