有病者の対応チェアサイドSOSブック
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121FILE脳血管障害Cerebrovascular diseaseプロファイルDATA1どんな疾患? 脳血管障害のうち、突然の発作を脳卒中(脳血管発作)といいます。脳卒中は「出血性」と「閉塞性」に分けられます。出血性は脳血管から出血するため脳が圧迫されるもので、「脳出血」と「くも膜下出血」があります。一方、閉塞性は血栓による虚血で「脳梗塞」が起こります(図1)。いずれも脳組織に障害が起こり、その部位によってさまざまな後遺症が残ります。何が原因? 脳血管障害のほとんどの患者に、基礎疾患として高血圧症があります。また、不整脈、糖尿病、高脂血症、大量の飲酒、喫煙、運動不足、肥満などが危険因子とされています。どんな検査・治療をするの? CT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴コンピューター断層撮影)、MRA(磁気共鳴血管造影)などの画像検査で、障害の部位と原因を調べます。MRAとは、MRIを使って血管だけをより鮮明な画像にする方法です。 治療法として、脳出血やくも膜下出血では、必要に応じて手術を選択します。脳梗塞の急性発作時には血栓溶解療法が行われます。どんな薬を服用しているの? 脳梗塞の治療後の再発予防のために、抗血小板薬を服用しています。抗血小板薬には、バイアスピリン®やパナルジン®、プラビックス®があります。心房細動(心房がふるえて心臓からの血流量が減るとともに心房内の血流の乱れにより血栓ができやすくなる状態)などの不整脈がある場合は、抗凝固薬のワルファリン(ワーファリンなど)(図2)が処方されています。両方の薬を飲んでいる患者も少なくありません。生活上で気をつける点は? ワルファリンは、食事や他の薬剤の影響を受けます。特にビタミンKは効果を低下させてしまうため、納豆、海藻、緑茶、クロレラ、緑黄色野菜などのビタミンKを多く含んだ食品の摂りすぎに注意する必要があります。図1 脳血管障害の分類図2 ワーファリン。内服用の抗凝固薬。プロファイルDATA2脳梗塞血栓くも膜下出血脳出血脳血管障害脳血管障害患者の心理・生活背景
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