薬 '10-'11
4/4
4機能・感覚異常127④ ボリコナゾールを投与中の患者:ボリコナゾールの血中濃度が減少する恐れがある(相互作用の項参照)⑤ ポルフィリン症の患者:ポルフィリン合成が増加し,症状が悪化する恐れがある 投薬の背景 三叉神経痛は,三叉神経の2枝または3枝に片側性に発現する,瞬間的な発作性の電撃様疼痛を特徴とする神経痛である(1枝に発現するものは2~4%以下).通常45歳以上で初発する.典型的なものでは,小鼻の横(2枝)や下顎小臼歯相当部(3枝)などの顔面皮膚にトリガーゾーンが認められ,疼痛発作はトリガーゾーンへの接触や,食事や会話,洗面,歯磨きなどの日常的な行為で誘発される.通常は頭蓋内の血管が三叉神経根を圧迫するために生じるが,10%は脳腫瘍や多発性硬化症などに起因する症候性のものであるため,診断に際してはMRIなどによる頭蓋内の精査が必要である. 三叉神経痛にはカルバマゼピンが特効的に奏効するが,カルバマゼピンは重篤な副作用が起こりうる薬であるため,血液検査などで継続的なモニターを行う必要がある.したがって開業医での処方は,病院を受診するまでの1週間程度に限り,実際の診断と治療は病院歯科の口腔外科などに依頼するのが得策である.また,薬物療法が奏効しない場合には,外科療法に切り替える必要がある. カルバマゼピン(テグレトールⓇ)以外の薬物は保険適応外であるため,投薬には注意が必要である.投薬のポイント① 第1選択薬はカルバマゼピンであるが,薬疹が生じた場合には,構造式の異なる抗てんかん薬であるゾニサミドに切り替える.ゾニサミドは半減期が長いため,急激な増量にはリスクがあり,1~2週ごとに血中濃度を計測しながら増量する必要がある.ゾニサミドでも薬疹が生じる場合には,プレガバリンⓇを試してみる価値がある.② いきなり200mgを処方すると,嘔吐する患者もいるため,初日は100mgを1回就寝時に服用させ,悪心・嘔吐がみられなければ,発作がコントロールできる量まで,1日200mgを超えない範囲で漸増する.③ 半減期が24~36時間と長いため,初期には就寝時1回の服用でよいが,長期投与では肝臓の酵素誘導が起こり半減期が短くなるため,投与方法を2回,3回に分ける必要がある.④ カルバマゼピン単独で発作をコントロールできない場合には,増強療法として,バクロフェンやクロナゼパムを1日3回で併用する.見逃せない副作用,相互作用① 頻度の高い副作用は,めまい,ふらつき,眠気,悪心,嘔吐である.② 致命的となりうる副作用は,再生不良性貧血,血小板減少などの重篤な血液障害と,薬疹ではじまる皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)などの重篤な皮膚症状である.いずれも内服開始後1~2週間くらいで生じるため,血液検査や皮膚の観察などを十分に行う必要がある.
元のページ