ビジュアライズド イラストレーションズ
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89Part2 根管形成のテクニックを学ぶc,d:下顎右側第一小臼歯に#15Kファイルを挿入しても電気的根管長測定器の指針は反応しなかったので,エックス線写真を撮影した.この対策としては,ファイルが根尖孔を通過しPDL(歯根膜)にでるとメーター上では一瞬正確な値が示される,この瞬時の値を見逃さないことである.さらにエックス線写真などからおおよその根管長を予測して,つねに穿通時に長すぎる場合は疑ってかからなければならない.根管最大狭窄部の平均値歯種 平均値(mm)上顎切歯 0.2894下顎切歯 0.2625上顎小臼歯 0.210下顎小臼歯 0.26825上顎大臼歯P 0.298MB 0.23505DB 0.2322下顎大臼歯M 0.2575D 0.392 生活歯の平均根管最大狭窄部の径は,下顎大臼歯の遠心根管以外ほぼ0.25mm前後である.上顎小臼歯がもっとも小さい.細いファイル(#08,#10)使用時には,電気的根管長測定器の値に注意が必要である.またそれより大きいファイルを抜髄で用いる場合は,根尖方向に歯髄を圧縮させないように注意が必要である.このように,天然の根管の太さがすでに0.25mm前後なので,GTロータリーファイルをいきなり用いても根尖までガイドされ(先端部の太さが#20なので),根管形成することも可能かもしれないが,強度に湾曲している場合には根管形成時に前進しずらく,無理に押し込むと破折してしまうリスクもある.♯15までのKファイルを根尖まで通し,0.15mm径の通路があった方が確実である.しかも,根管形成前にNegotiationをしておけば,ある程度根管の形態を把握することができる.ここにテーパー形成前のNegotiationの重要性がある.4‐②抜髄時のNegotiationa:有髄根管に#15Kファイルをいきなり挿入するところ.b:生活歯の最大狭窄部の太さが偶然0.15mmほどしかなければ,#15Kファイルにより歯髄組織が根尖付近で圧縮されて塊になり,穿通できなくなる.この歯髄組織の塊を残すと感染源になるので,必ず除去しなければならない. 電気的根管長測定器では,ファイルを根尖孔外に突き出した位置で指針が反応しなくなることがある.このような場合ファイルの先端は電解質の少ない皮質骨の中か上顎洞内に位置していることがほとんどである.cdab

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