口腔外科症例集
2/4

その他の病変67舌にみられる疾患★舌背中央部に,境界明瞭な数個の腫瘤が認められる.ピンク色を呈し,硬い.舌腫瘍が疑われるが,悪性腫瘍は舌背部に発生することはほとんどない.生検後,偽上皮腫様過形成を伴い,カンジダ感染が証明された.確定診断⇒正中菱形舌炎★左舌背部に潰瘍形成.硬結(-),自発痛(-),接触痛(-).臨床診断⇒潰瘍性口内炎.処置としてサルコートを塗布(厳密には保険適用のためには「難治性口内炎」という病名が必要である).▼正中菱形舌炎とは 舌根近くの正中部に生じる菱形の隆起.糸状乳頭を欠き,粘膜が露出しているため赤く見える.炎症性病変でなく胎生期の不対結節の癒合不全による先天性奇形と考えられている.基本的には加療の対象とはならず,疼痛などの症状発現時のみ,軟膏塗布などの対症療法を行う.生検してカンジダ感染が証明された場合は,抗真菌薬を使用する.▼潰瘍性口内炎とは 広範囲の口腔粘膜に潰瘍を生じる疾患.水疱の破裂から移行するものや,先天性の症候群に伴って生じるものなどがある.Rp)・サルコート 6cap 1日4回噴霧 パブライザーという装置を用いて噴霧する.口腔内所見症例51歳男性.主訴:舌の腫瘤.現病歴:数か月前に舌背部の腫瘤に気づくも放置していた.最近になって気になるようになり,近歯科医院を受診.精査のため当科を紹介来院.症例23歳男性.主訴:左舌縁の疼痛.現病歴:2日前の夜から突然舌の疼痛が激しくなり,疼痛除去を希望し当科を来院.口腔内所見

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です