ITI vol.4
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患者は68歳の上下無歯顎男性で、診査と治療オプションを知るために来院した。患者の全身的健康状態はきわめて良好で、常用している薬剤はなかった。患者は歯周疾患およびう蝕が原因で歯を喪失し、約12年間無歯顎の状態であった。 患者の主訴は口腔機能不全であった。審美的な不満もあり(図6-1-4-1)、予知性の高い結果を求めていた。 患者は不良な下顎総義歯が原因で口腔機能が低下したと考えていた。特に、義歯の不安定と不適合を懸念していた。上顎総義歯に関しては、おおむね満足していた。総義歯の適合性は理想的とは言えないものの、維持、安定、ならびに支持に関しては妥当であると判断できた(図6-1-4-2)。A. Boeckler、D. Morton6.1.4下顎に埋入された6本のインプラントへの通常荷重とフルアーチのメタルセラミックFDP(固定性歯科補綴物)による最終修復図6-1-4-1 治療開始前のリップライン。図6-1-4-2 治療開始前の口腔内状況。6章 臨床ケース報告ITI Treatment Guide116
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