ITI vol.4
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口腔内診査から、上下顎歯槽堤に中等度の骨吸収があることが明らかになった。すべての組織は健康で、炎症または感染の徴候は認められなかった。下顎残存歯槽堤の角化付着粘膜の量は十分と考えられた(図6-1-4-3)。 使用中の総義歯は咬耗しており、咬合状態と審美性はともに不良であった。安静空隙の診査により、総義歯の咬合高径が不適切なことが判明した。X線診査によって、骨に病変がないことを確認した。 患者には、いくつかの治療オプションを提示した:オプションⅠ.上下顎とも可撤性総義歯。オプションⅡ.上顎は総義歯で下顎は可撤性インプラント支持型オーバーデンチャー。オプションⅢ.上顎は可撤性総義歯で下顎は固定性インプラント支持型フルブリッジ。 各オプションの利点および欠点について詳細に協議した結果、患者はオプションⅢ(上顎は可撤性総義歯で下顎は固定性インプラント支持型フルブリッジ)に同意した。 患者が現在使用している下顎総義歯を透明の常温重合型ポリメチルメタクリレート(PalaXpress Clear, Heraeus Kulzer, Hanau, Germany)で複製した。6個の金属製ボール(直径5mm)をインプラントの理想的な埋入位置に設置した。パノラマX線写真を撮影し(図6-1-4-4)、オトガイ孔間領域における十分な骨の高さを確認した。 外科用テンプレートを作製するために、金属製ボールをドリルスリーブと置換した(図6-1-4-5)。 局所麻酔下で6本の歯科用インプラント(ストローマン スタンダード インプラント RN、直径4.1mm、長さ12mm)を埋入し、粘膜貫通型ヒーリングアバットメントを装着した(直径4.8mm、高さ1mm)。術後、X線写真を撮影した(図6-1-4-6)。図6-1-4-3 角化付着粘膜が存在する、十分な下顎残存歯槽堤。図6-1-4-5 外科用テンプレート。図6-1-4-4 X線写真上のインプラント埋入予定位置に設置した金属製ボール。図6-1-4-6 術後のX線写真。Volume 4 Loading Protocols in Implant Dentistry Edentulous Patients1176.1.4 下顎に埋入された6本のインプラントへの通常荷重とフルアーチのメタルセラミックFDP(固定性歯科補綴物)による最終修復

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