ITI vol.4
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63歳の男性患者が、上顎の部分欠損の診察と治療で来院した。 患者には前歯部の残存歯と古い可撤性部分床義歯が存在した。当院受診の2ヵ月前に動揺と歯周疾患のため上顎の臼歯部を抜歯したとのことであった。 患者の主訴は上顎の歯が動揺しており、ものが噛めないことであった。患者の要求は安定した快適な上顎の固定性リハビリテーションであった。 患者は軽度の喫煙者(1日10本より少ないタバコ)で、特筆すべき所見はなかった。初診時には定期的な投薬も受けていなかった。 口腔外所見では正常の顔貌で下顔面は正しく1/3に分布していた。患者はローリップラインで、歯と軟組織の移行部は、大きなスマイルでも見えなかった。 口腔内診査では上顎に13、12、11、21と23の残存歯が存在していた。21と23は、遠心カンチレバーのある1ユニットの固定性部分義歯で連結されていた。13を除くすべての上顎の歯は著しい動揺を認め、セメント-エナメル境が露出するまで軟組織の退縮が進み、隣接面部では6mm超のポケットが存在していた。 下顎には48、44、43、42、32、34、35と37が存在していた。43、42、33、35と37は、2つの固定性部分義歯で連結されていた。下顎の歯は、48以外は著しい動揺を認めなかった。完全な根分岐部病変の存在する48以外の下顎の残存歯は、4mm未満のプロービングポケットデプスを示した。 顎間関係は好ましく、口腔粘膜に病変は診断されなかった(図6-2-4-1)。 上顎臼歯部を抜歯する前の状況を明らかにするために、パノラマX線を撮影した(図6-2-4-2)。P. Casentini6.2.4上顎に埋入された6本のインプラントへの即時荷重とフルアーチのCAD/CAMジルコニアFPD(固定性歯科補綴物)による最終修復図6-2-4-1 好ましい顎間関係。口腔粘膜に病変は見当たらない。図6-2-4-2 上顎の残存歯を抜歯する前のパノラマX線。Volume 4 Loading Protocols in Implant Dentistry Edentulous Patients1676.2.4 上顎に埋入された6本のインプラントへの即時荷重とフルアーチのCAD/CAMジルコニアFPD(固定性歯科補綴物)による最終修復
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