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821)StageⅠのポイント❶ 叢生・捻転があるときは,.016″Ni-Tiワイヤで改善する(2~3か月使用).ただしオーバーバイト3mm以上のときは,Spee湾曲の付与されたものとする.上下顎の前歯部の叢生が除去されたら,上下顎33を.010″のシュプリームワイヤや2・3間のクリンパブルフックで前歯群を必ず一塊としておく.❷ オーバーバイトが大きく,そしてオーバージェットが比較的小さい過蓋咬合の場合, 最初から下顎にブラケットとワイヤを装着すると,患者が装置を壊しやすく患者との間でトラブルの原因となりやすい.そのため,そのような症例ではまず上顎のみにブラケットとワイヤを装着し,つぎにバイトが挙がってから下顎にもブラケットとワイヤを入れるという差働矯正治療(diff erential orthodontic treatment)を行うと良い.特に下顎の成長が期待できる混合歯列期やまだ成長が十分に残っている永久歯咬合未完成期(第二大臼歯未萌出期)には,患者の下顎の成長をまず,バイトの挙上で引きだしやすくすることができるので有効な治療法である.具体的治療手順は症例の項(図Ⅳ‐1~23)を参照のこと.図Ⅲ‐14a,b 成人症例であっても過蓋咬合がある場合はまず上顎のみブラケットとNi-Ti Spee湾曲ワイヤ(左図)でバイトを挙げ,後に下顎にブラケットとワイヤを装着する(右図),いわゆる差働矯正治療は患者の負担や術者としては装置の破損やブラケットの脱落のトラブルを防止することができる有用な方法である.▲図Ⅲ‐12 StageⅠで上顎前突でバイトを挙げる必要のない症例(オーバーバイト3mm以下)の場合はレギュラータイプのNi-Tiワイヤ(叢生・捻転をともなうとき,最初は.016″円線を使用,ともなわないときは,.016″×.016″角線から始める)を用いる.▲図Ⅲ‐13 オーバーバイト3mm以上で前歯のバイトを挙げる必要のあるときに用いるSpee湾曲のNi-Tiワイヤ.バイトオープニングベンド,アンカレッジベンドがすでに付与されているので,このまま使用すればよい.
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