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83Ⅲ 診断と基本的治療術式Ⅲ‐15).そのため十分にバイトが挙がってから,オーバージェットの改善に必要ならばⅡ級ゴムを使用することが大切である(図Ⅲ‐16).2)StageⅠのコツ❶ 前歯部の叢生が除去されたら,犬歯~犬歯は一塊とするために,早期に犬歯間保持を行うこと(図Ⅲ‐14b,16).犬歯間保持にはいくつかの方法がある:a) .010″シュプリームセクショナルワイヤ(図Ⅲ‐17)を適当な長さにカットし,その両端を犬歯ブラケット遠心面に沿って曲げ,先にブラケットスロットに挿入し,その上からメインアーチワイヤをセットする方法(図Ⅲ‐14b).b) メインアーチワイヤの犬歯近心部付近にクリンパブルフック(噛み潰しのフック)を専用のプライヤーで装着し,フックと犬歯ブラケットの遠心部❸ 2回目からのNi-Tiワイヤはできるかぎり角とすることにより,それぞれの歯を三次元的に早期にアイデアル化を目指す.具体的には.016″×.016"→.018″×.018″→.020″×.020″Ni-Tiワイヤと3~4か月ごとに交換し,グレードアップしていく.ただし,オーバーバイト3mm以上のときは,Spee湾曲の付与されたそれぞれのサイズのNi-Tiワイヤとする.❹ 矯正用輪ゴムは,.018″×.018″Ni-Tiワイヤとなってから,必要なときに(オーバージェットを減少させたいとき)使用するのが好ましい(図Ⅲ‐16).❺ バイトオープニングに関しては,Spee湾曲の付与された角Ni-Tiワイヤにより上顎切歯を海綿骨の溝のより広いところまで圧下し,角ワイヤとブラケットとの間のトルク力により,上顎切歯軸を歯槽突起も含めてゆっくりと変形させていく(図図Ⅲ‐15 図Ⅲ‐16 Ⅱ級ゴムの使用はオーバーバイトが十分に挙がってから,オーバージェットの改善が必要な場合にのみ用いることが大切である.図Ⅲ‐17 犬歯間保持に用いる.010″シュプリームワイヤ.治療前とStageⅠ終了時の重ね合わせStageⅠ終了時装置装着2~3か月後治療前A
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