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102 ・頭部エックス線規格側貌写真 ・オブリークエックス線写真 (必要があれば,患者のインナービューティのエビデンスとしての3DCT画像)❷ StageⅢを開始するにあたり,採取したこれらの資料より,上顎中切歯のさらなるトルクが必要であるか? 可能であるか? すでにトルクは終了しているか? を頭部エックス線規格側貌写真計測値から判断する:U1-SNが93°以上のとき:さらなるトルクは必要ない,U1-SNが93°以下のとき:トルキングブラケット(20°)を用いてのトルクがさらに必要となる.❸ StageⅢを開始するにあたり,採取した資料より下顎中切歯のリバーストルクが必要であるか? 可能であるか? を判断する:L1-Mdが90°以上のとき,下顎中切歯にリバーストルクブラケット(-10°)を用いてのリバーストルク(歯根の唇側への移動)が必要となる. L1-Mdが85°以下のとき,原則として下顎中切歯根の舌側へのトルクが必要となるが,Ⅱ級ゴムの反作用で下顎切歯は前傾してくるのでブラケットの変更は不要である.❹ StageⅢを開始するにあたり,stageⅡ終了時の上下顎口腔模型,オブリークセファロ,パノラマ,デンタルエックス線写真により,歯軸の近遠心的傾斜をチェックし歯軸の近遠心的整直の必要な(と思われるものも含めて)歯とその所要期間(1か月に2.5°の歯軸の整直量で計算する)を明確にしておく.❺ 具体的にアップライティングスプリングの装着が必要な部位は, ・ 上下第一小臼歯抜歯のとき:側切歯(後戻りの検証から側切歯軸の整直は重要),犬歯,第二小臼歯,場合によっては第一大臼歯 ・ 上下顎第二小臼歯抜歯のとき:側切歯,犬歯,第一小臼歯,第一大臼歯(第一大臼歯に関しては術後,後戻りしやすいので必ず整直しておく)❻その他,特殊なトルクが必要なとき: ・ 治療前に舌側転位していた上顎側切歯はリバーストルクブラケットでの唇側への歯根の移動がstageⅢになっても必要であることもある. ・ 埋伏していた上顎犬歯を矯正的に牽引誘導したときには,上顎犬歯にトルキングブラケットによる歯根の舌側への移動が必要なことが多い.場合によっては側切歯リバーストルク,犬歯トルキングが必要となる(相反トルク:reciprocal torque).❼ StageⅢのアーチワイヤは,変形などがなければpre-stageⅢの.018″×.018″または.020″×.020″ステンレスをそのまま,または変形など(バイトオープニングベンド,アンカレッジベンド,アーチフォーム,犬歯部オフセット,モラーオフセット)を調整してセーフティ Tピンでブラケットスロットにしっかりロックして用いる.最初に犬歯間保持のワイヤ(.010″)をブラケットスロットに挿入した上から主線を挿入し,セーフティ Tピンでロックする.❽ つぎに,歯軸の整直を必要とする歯にTピンをロックしたままで,その隙間にミニアップライティングスプリングを挿入(図Ⅲ‐50,51)し,ブラケット切端縁から出た脚を屈曲し,つぎにスプリングのアームをワイヤにフックする.図Ⅲ‐50 下顎第二小臼歯抜歯症例のアップライティングスプリングの装着を示す. 下顎側切歯・犬歯・第一小臼歯とミニスプリングの装着方向はアームが遠心方向の主線にフックされている,そして第一大臼歯にはユニバーサルスプリング(図Ⅲ‐53参照)より製作したアップライティングスプリングが装着されている.
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