これならわかるビスフォスフォネート
2/8

5歯科治療と顎骨壊死 2003年に米国でMarxがビスフォスフォネート(BPs)系薬剤投与の副作用として顎骨壊死が起こることを報告して以来,現在ではこの問題は患者のQOLを考え,医師・歯科医師・薬剤師が線密に情報を交換しながら現在に至っております. われわれも2004年の初診で,多発性骨髄腫で投与されているパミドロン酸二ナトリウム(アレディア®)が原因と思われる下顎骨壊死の1例を2006年の第182回日本口腔外科学会関東地方会で発表(図1)しましたが,その時点ではビスフォスフォネート系薬剤関連顎骨壊死(Bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaws,以下BRONJ)の実態がわからずBPsと思われると報告し,とくにそれに関する質問もなかったと記憶しています. その後,現在はBPsによる顎骨壊死症例が日本では日本口腔外科学会による全国調査で246例,欧米では2,500例がすでに集積されています.骨壊死が何故か顎骨だけに集中するため,顎骨を取り扱う歯科医にとっては大きな問題で,日常診療でもっとも多い外科処置である抜歯が発症の原因となって起こることが多いことを考えると,われわれにとっては極めて重要な問題です. そしてステージが進行すると,前述のような顎骨の切除を余儀なくされ,摂食,嚥下などに支障をきたし,著しく患者のQOLを低下させることも念頭におかなければなりません.図2 第182回日本口腔外科学会関東地方会で発表.腐骨および切除物患者:57歳,男性原疾病:多発性骨髄腫BPs系薬剤:パミドロネート(総量:3240mg)BPs投与期間:4年4か月主訴:下顎の骨露出および排膿初診時CT写真術後パノラマエックス線写真

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です