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9出血?継続中断脳梗塞?右 左頭部CT画像(東京女子医科大学神経内科 飯嶋 睦先生提供)抜歯時などに抗血栓薬を中断させると脳梗塞や心筋梗塞を再発 抜歯などの歯科外科処置時に抗血栓薬(ワルファリン,抗血小板薬)を中断するか継続するかが長年,議論されてきました(図7).心原性脳塞栓症でワルファリンを服用している患者や,ステント留置後に抗血小板薬を服用している患者などで,抜歯時,抗血栓薬を中断した場合,脳梗塞や心筋梗塞の再発をきたし危険です.Wahlの報告では,ワルファリン療法を中断し抜歯した場合,493人(542症例)中5人,約1%に脳梗塞をはじめとする血栓・塞栓症が起き,そのうち4人(80%)が死亡しています.一方,抗血栓薬を継続した場合には,出血のリスクがあるのではとの不安を抱いている医師や歯科医師もまだ多くいます.抗血栓薬継続下での抜歯 英国のガイドラインでは,ワルファリン療法(抗凝固療法)が治療域に安定していれば,重篤な出血を起こすリスクは非常に小さく,逆に中断すると血栓症のリスクが高くなるため,抜歯時に経口抗凝固薬を中断するべきではないとなっています.2010年10月には,日本でも「科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン」が策定され,適切な局所止血処置の下,抗血栓薬を継続したままでの抜歯が推奨されています.根拠もなく抜歯時の出血を恐れ,抗血栓薬を中断することは,大変危険であることを歯科医師は考慮しなくてはいけません.図7 抜歯,インプラント手術時,抗血栓薬は?.

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