別冊YB2011 日常臨床で必ず使えるコンポジットレジン修復の一手
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42Part2 臨床家・大学人18人の“私の臨床でのコンポジットレジン修復ダイジェスト” 筆者が歯科医師になった当初にその難しさを痛感したのは,コンポジットレジン(以下,CR)修復であった.形態・色調・隣接面コンタクトの付与などで悪戦苦闘しながらも,そのような技術的問題をクリアすると,今度は接着力やCRのもつ材料的問題が立ちはだかり,「所詮はCR」とのイメージがついてしまっていた. しかし,近年,それらの材料が格段に進化したことや,自分自身の技術が多少なりとも上がり,また考え方も柔軟になったことで,再びCR修復に取り組むようになっている(図1,2).とはいえ,直接修復たる限界は当然存在する.間接修復との比較においてCR修復の利点を挙げると,①MIの概念に基づき,最小限の歯質削除で修復できる(図3),②歯質との一体化が図れる,③汚染されていない歯質に直接接着できる,④セメントラインが存在しない,⑤基本的に1回のアポイントで治療が可能,⑥シェードを直接合わせられる,⑦低コストでの治療が可能,などとなる. 他方,間接法の利点をあげれば,①解剖学的形態付与が容易,②コンタクトの緊密な回復が可能,③隣接面の仕上げ研磨が容易,④重合収縮からの解放,⑤物性の向上,などがあげられる(図4).つまり,両者の利点・欠点は表裏一体であり,患者ごとにこれらを天秤にかけて治療を決定することとなる. CRにおいては,長期的な予知性においての材料的な信頼性(強度,摩耗,対腐蝕性,生体親和性)を不安視する声も多い.しかし,部分修復である限り,すべての修復材料は“長期暫間修復”であるというのが筆者の考えである.修復歯であれば,いずれは何らかの再治療が必然である.そのように考えた時,間接修復は再治療のたびに否が応でも修復面積が広青島徹児 Tetsuji Aoshima埼玉県開業 青島デンタルオフィス連絡先:〒358‐0011 埼玉県入間市下藤沢484‐251.私が考えるコンポジットレジン修復利点・欠点を認識して適応すべきCR修復Direct Restoration:the Pros and Cons1
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