別冊 天然歯vsインプラント
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104はじめに インプラント治療が一般化し、広く用いられるようになったことは非常に望ましい風潮である。しかしながら、一方で決して少なくない人たちが自身の受けたインプラント治療に対して不満を持っているという現状がある。それは、審美ゾーンへインプラントが広く使われるようになったことで、その審美性への不満といった形で現れている。 現在、インプラント治療による審美性の獲得というテーマで、雑誌・講演などで「どのようにしたら安全な審美インプラント治療が可能になるのか」といった内容がKoisのリスクファクターを取り上げた文献1)などを始めとして発表されている。しかしながら、失敗したケースの対処法についてはあまり多く報告されておらず、確立もされていない。 したがって今回、退縮がインプラント治療後に起こってしまったケースに対する対処法の一つとして、結合組織移植を用いた審美性の改善法を提示する。症例1供覧1)症例の問題点および治療のポイント 1相当部インプラント周囲に垂直的歯肉レベルのディスクレパンシーを認めた。また、インプラント体のスレッド部は露出しており、インプラントの埋入位置は唇側に傾斜していた。 本症例では、結合組織移植を用いてインプラント周囲に角化粘膜を形成することが治療目的となる。 まず、パワージェットを使用し、インプラント周囲のデブライドメントを2度に分けて行う。まずはプラークが付着している露出部分、およびフラップを形成したそ審美領域のインプラント治療における結合組織移植の考察Consideration of Connective Tissue Graft for Esthetic Implant Treat-ment鈴木真名(鈴木歯科医院)Masana Suzuki(Suzuki Dental Clinic)

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