別冊 天然歯vsインプラント
8/8
上顎インプラント治療の審美性における臨床的考慮点115即時埋入か待時埋入か インプラント治療を行う際に、観血的処置による外科侵襲や治療期間を最小限にとどめる努力をする必要がある。しかし一方で、何が患者利益につながるかを十分に考慮する必要もある。抜歯後即時埋入は、治療期間や最小限の外科侵襲という面で非常に有利であるが、抜歯後の骨吸収量が予測できないという点では、不利に働く可能性もある。 即時埋入の不利な点としては、抜歯窩洞が感染していた場合の対応や、ドリリングが抜歯窩に誘導されやすい点、初期固定の不十分さ、抜歯窩とインプラント間の隙間の存在、組織の吸収量の予測不可などが挙げられる。 以前は、即時埋入により抜歯後の骨吸収は抑制できると考察されていたが、現在は抜歯窩にインプラントを即時埋入する、しないにかかわらず歯根膜由来の束状骨の吸収は生じ、唇側の組織の保存になりえないことを示唆する報告がされている2~4)。 即時埋入を行うか、あるいは待時埋入を行うかは、術前においてのリスクファクター、予知性、永続性を十分に考慮しながら選択することが大切である。症例2-i症例2-j症例2-g症例2-h症例2-i、j 術後5年のCT画像および口腔内。症例2-g、h 最終補綴物装着時のデンタルX線写真および口腔内。
元のページ