有病高齢者歯科治療のガイドライン 下
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第16章肝硬変患者の歯科治療Ⅲ-1 肝硬変患者の問診の取り方1)肝硬変患者を発見する 初診時に患者が記入する問診票を見れば肝硬変の既往の有無がわかるし,薬剤手帳を見れば肝疾患治療薬の処方の有無がわかる. 肝硬変の原因でもっとも多い疾患はウイルス性肝炎なので,B型肝炎やC型肝炎の既往歴を聴取する.輸血歴についても聞く.またアルコール多飲患者ではアルコール性肝障害をきたしている可能性がある(図16-10).2)肝硬変の重症度を評価する 肝硬変の重症度分類には,Child-Pugh(チャイルド-ピュー)の分類(表16-5)が用いられる.各項目の点数を合計して,スコアが5か6ならgrade A,スコアが7~9ならgrade B,スコアが10~15ならgrade Cと判定する. たとえば肝性脳症がなく(ポイント1点),腹水もみられず(1点),総ビリルビン2.5mg/dL(2点),血清アルブミン3.0g/dL(2点),PT-INRが2.2(2点)なら,ポイントの合計が8点になるのでgrade Bと判定する. 食道静脈瘤,浮腫や腹水などの有無も問診により確認しておく.もしあれば,リスクが高いと判断する.ただ浮腫や腹水は肝硬変以外の疾患でも起こるので,原因を内科主治医に確認する.図16-10肝硬変の原因HBVHCVアルコール性薬物性胆汁うっ滞型Child-Pughの分類表16-5ポイント項目1点2点3点肝性脳症なし軽度(Ⅰ・Ⅱ)昏睡(Ⅲ以上)腹 水なし軽 度中程度以上血清ビリルビン(mg/dL)(胆汁うっ滞)<2.0(<4.0)2.0~3.0(4.0~10.0)>3.0(>10.0)血清アルブミン(g/dL)>3.52.8~3.5<2.8プロトロンビン活性値(%)(PT-INR)>70(<1.7)40~70(1.7~2.3)<40(>2.3)grade A:5~6点 grade B:7~9点 grade C:10~15点(日本肝臓学会(編).慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2011.東京:分光堂,2012.より)59

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