知る・診る・対応する 酸蝕症
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065酸蝕症の病態とはCHAPTER6症例7GERD+柑橘系果実の習慣的摂取患者:50歳女性.主訴:歯のすり減り. 内因性(GERD)ならびに外因性(オレンジ,グレープフルーツなどの習慣的摂取)の混合症例である(図42).左上臼歯部にメタルボンドブリッジを装着して以来,対合歯ならびに上顎前歯部切縁が薄くなってきたことを主訴に来院された.酸蝕症の両要因が補綴処置前から存在していたなか,メタルボンドのような硬い材質の補綴物が装着されたことで,対合歯のerosive tooth wearが促進したものと考えられた.なお,上顎前歯部切縁はコンポジットレジン修復で即日対応した(→P111参照).症例8GERD+酸性飲食物の混合摂取患者:28歳女性.主訴:全顎的歯痛. 内因性(GERD)ならびに外因性(酸性飲料物の過剰摂取)の混合症例である(図43).某開業医にて酸蝕症の存在に気付くものの,内因性因子の精査ができず,紹介され来院した(患者は胸やけを訴えている).また,同歯科医院では全顎的な歯の痛みに対してメタル修復を中心に対応しており,審美的な問題から患者が転院を希望.上顎前歯部口蓋側に胃食道逆流疾患で典型的な酸蝕像を認め,内科的対応としてレジンコーティングを試みた. なお,中心咬合時に上下顎前歯部は接しておらず,咬耗など物理的な要因は考えにくい.一方,右下臼歯部における知覚過敏に関しては,同じく内科的対応としてMIペーストならびにトレー法による知覚過敏抑制で軽減を試みた(→P88~91参照).42a42b42c図42 GERD+柑橘系果実の習慣的摂取症例.43d図43 GERD+酸性飲食物の混合摂取症例.43b43a6-3 内因性・外因性混合型代表症例43c

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