ITI Treatment Guide Volume 10
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7章 臨床ケース報告ITI Treatment Guide ・ Volume 10334置のポンティックの口蓋側に穴を開け、唇側にマーキングを施し、歯頚部は計画された粘膜マージンまで正確にトリミングした。このテクニックにより、インプラントの理想的な三次元的ポジショニングを手助けするための必要な情報が得られた。 インプラント手術は、術前に抗生物質の予防投与(手術1時間前にアモキシシリン2g経口投与)および0.12%クロルヘキシジン洗口(Curasept ADS;Curaden Healthcare、Saronno、Italy)を用いて局所麻酔下で行った。欠損領域に歯槽頂切開を加えるとともに、台形状のフラップを形成するように、両隣在歯の遠心隅角部に縦切開を行った。このフラップデザインでは、インプラント床形成、インプラント埋入、および同時法での骨移植を行う際、骨への理想的な視野到達性を得られた。しかしながら、縦切開による瘢痕を最小限にするような代替のフラップデザインを検討できたかもしれない。粘膜骨膜全層弁を翻転後、手術中にフラップの自由端を口唇へ繊細に固定するために絹糸を用いて縫合した。 インプラント床はメーカーのドリリングプロトコールに従って形成し、ボーンレベルインプラント(Straumann Bone Level RC SLA、直径4.1mm、長さ10mm、Institut Straumann AG、Basel、Switzerland)を良好な初期固定で埋入した(図12)。インプラント/アバットメント接合部の垂直的位置が、計画された粘膜マージンの3mm下方であることを確実にするために、最終的なインプラントポジションをサージカルガイドで再確認した。切歯孔を避けるため、インプラントはわずかに近心唇側に傾斜埋入され、セメント固定式補綴装置が必要となった。 インプラントの位置と支台歯形成のための参考資料として役立てるために、インプラントプランニングの一環として診断用ワックスアップを行った(図10a、b)。診断用ワックスアップ上に製作したシリコンインデックスを使用して、ビスアクリル系コンポジット(Protemp;3M ESPE、St. Paul、MI、USA)でプロビジョナルブリッジの複製を製作し、簡易的なサージカルガイドとして使用した(図11)。暫間補綴装ab図10a、b 診断用ワックスアップが、審美的評価、外科的インプラント計画、およびその後の暫間補綴装置製作の一環として行われた。自然な歯肉形態を回復させるための欠損部軟組織のワックスアップ。図11 粘膜骨膜弁の翻転、およびサージカルインプラントガイドのポジショニング。図12 予測どおりの小さな裂開と薄い唇側骨を伴うインプラント埋入。

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