ITI Treatment Guide Volume 10
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7章 臨床ケース報告ITI Treatment Guide ・ Volume 10338 最終アバットメントの挿入中、エマージェンスプロファイルは暫間補綴装置の形態に一致していたので、軟組織の貧血帯が見られなかった(図25)。クラウンマージンは唇側で粘膜下0.5mm未満に位置し、組織のスキャロップに一致していた。最終補綴装置の適合、コンタクト、カントゥア、そして審美が確認された後、アバットメントスクリューは35N·cmで締結された。PTFEテープはアバットメントスクリューを保護するために挿入され、スクリューアクセスホールは、アバットメントの光学的性質に合致するようにコンポジットレジンをわずかにアンダーフィルとした。インターナルブリーチ後、左側中切歯の歯質の色調に顕著な改善が認められ、これは中切歯補綴装置の理想的な色調調和の手助けとなった。両側の二ケイ酸リチウム製クラウンを、メーカーの指示に沿ってレジンセメント(Variolink;Ivoclar Vivadent)で所定の位置に合着した。インプラントクラウンの余剰セメントを最小限にするために、Wadhwaniら(2009)の臨床セメンテーションテクニックが応用された。 補綴装置は患者の歯と顔貌の審美性に調和しているように見えた。患者は最終的な審美的、機能的治療結果に非常に満足していた(図26〜28)。望ましい凸状の組織カントゥアを再現した骨移植により、唇側組織形態は隣在歯と対称であった(図27)。患者は、治療後に歯肉縁を完全に見せて、よく笑うようになった。(図28)。図29 インプラントおよび隣在歯の歯間部骨レベルが良好であることを示す、装着日のデンタルX線写真。図25 35N·cmでスクリューを締結したアバットメント。最終補綴装置は暫間補綴装置のエマージェンスプロファイルを複製しているため、歯肉の貧血帯は存在しない。図26 セメント合着した日の口唇圧排時の所見。図27 ファイナルクラウンの咬合面観。カントゥアオグメンテーションにより作り出された良好な軟組織ボリュームとわずかな凸面形態。図28 装着日のフルスマイル。
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