THE BICON SHORT IMPLANT
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79mopnqにおける実質骨欠損が回復していた(図7-3pと7-3q)。図7-3qにおいて左側中切歯が挺出しているように見えるが、これはカメラの角度によって生じるアーチファクトが原因となって起こる目の錯覚である。症例4:右側上顎側切歯 患者は50歳の女性で、右側上顎側切歯に不適合修復物を認めた(図7-4a)。またその歯は、10年前に歯内療法処置が行われていた(図7-4b)。術前診査によって、不適合な陶材焼付鋳造冠とポストコアがそのまま残存していることが判明した。ポストとクラウンを除去した時点で、唇舌方向に走行する破折線が明らかになった。歯周ポケットは検出されなかった。患者は、以前のクラウンの自然な外観に非常に満足しており、新たに作製するクラウンに対しても同様の審美性を希望していた。提案した治療は、残根の抜歯後に4.0×8.0 mmのIntegta-CPインプラントを即時埋入し、アクリル製人工歯をプロビジョナルレストレーションとして治癒期間中に固定しておく方法であった。 残存する歯槽骨を保存するために、損傷が少ないよう、注意深くペリオトームを用いて抜歯処置を行った。抜歯窩は、徹底的に残存歯周靭帯や浅部の肉芽組織を掻爬ならびに除去し、滅菌生理食塩水にて洗浄した。その後に4.0×8.0 mmのIntegra-CPインプラントを埋入し、確実に骨を削除し位置付けした。骨削除中に採取された骨を、埋入されたインプラントのスローピングショルダー上へ設置し、吸収性コラーゲンプラグにて覆い縫合を行った(図7-4c)。アクリル製人工歯によるプロビジョナルレストレーションは、隣在歯へ接着性コンポジットレジンとファイバーリボンを併用することで保定した(図7-4d)。2週間後に歯肉は健常となり抜糸を行った(図7-4e)。 プロビジョナルレストレーション除去時に撮影したエックス線写真と臨床所見からは、プロビジョナルレストレーションとヒーリングアバットメント周囲に優れた骨レベルと健常な歯周組織が認められる(図7-4fと7-4g)。ヒーリングアバットメントを再度インプラントに挿入し、プロビジョナルレストレーションも再度隣在歯に固定した(図7-4h〜7-4j)。さらに2週間後にヒーリングアバットメントを除去し、陶材焼付鋳造冠をアバットメントへセメント合着した(図7-4k)。次いで修復物をインプラントへ挿入した(図7-4lと7-4m)。術後1年の臨床所見とエックス線写真から、インプラントが機能し、審美的にも満足いくものであることを確認した(図7-4nと7-4o)。 バイコンショートインプラントは、骨縁下2~4 mmに設置するように設計されている。インプラントを骨縁下に設置する意味は、自然なエマージェンスプロファイルを確保し、黒い金属マージンの露出を防ぐことにある。この患者は長期の審美性について非常に懸念していた。 バイコンの骨縁下埋入術がその懸念を取り除いたことが1年後の結果にも表れている。クラウンはセメント合着されているが、セメントは口腔外で容易に除去できるため、余剰セメンバイコンインプラント初心者による5年にわたる臨床経験図7-3(続き) (m-o)最終的なIACを装着したあとの側方面観、スマイル面観、エックス線写真。(p, q)術後5年のエックス線写真と口腔内写真。
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