THE BICON SHORT IMPLANT
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90第8章治療計画と基本術式abcab2回法の外科的術式インプラント埋入窩の形成 インプラントの外科手術には、適切とされる外科用フラップデザインが多数存在する(たとえば、エンベロープデザイン、スカラップデザインなど)。どのデザインを選択するにしても、歯間乳頭や付着歯肉を保存するために、基底部の幅は広くあるべきである(図8-8)。フラップを形成し歯槽頂を露出させたあと、注水しながらあるいは無注水で、パイロットドリルを用いて1,100 rpmで深さ6.0 mmまで骨を削除する(図8-9)。無注水でのパイロットドリルの使用に違和感を覚える臨床医もいるかもしれないが、高圧の注水は骨再生に有益な分子要因を洗い流してしまう。そのため、バイコンインプラントの施術では、どの段階でも注水は不要である1。バイコンインプラントは、骨の過熱を避ける原則に則っており、規定された手順を順守すれば過熱を防げるようにシステムが設計されている。 最初はドリルを6.0 mmの深さまで穿孔することが推奨される。これは骨削除の妥当性が決定できる最小の深さだからである(もっとも、必要に応じて深さは変更可能である)。骨削除の方向や角度の正当性を確認するには、2.0 mmのパラレルピンまたはストレートアバットメントをインプラント埋入窩に直接挿入する(図8-10)。骨削除の軌道は、パラレルピンを挿入した状況でさらにエックス線撮影を行って確認することを推奨する。隣接歯の位置関係や解剖学的構造などがかかわる場合はなおさらである。アシスタントは、パイロットドリルの軌道を患者の反対側から確認できる。また、真空成形したテンプレートを、インプラント埋入窩に挿入したアバットメントの上に設置することでも、骨削除の軌道を確認できる(図8-11)。パイロットドリルによる最初の骨削除の軌道に問題がないと判図8-11 骨削除初期に、真空成形したテンプレートを、インプラント埋入窩に挿入した2 mmポストのアバットメント上に設置し、方向を確認する際の模式図。図8-10 (a)パラレルピンは、初期の骨削除中にインプラント埋入窩の方向を確認するために使用する。(b)エックス線写真でインプラント埋入窩の方向を確認する。図8-9 (a)最初の骨切除時における初期深度は約6 mmとする。これはパイロットドリルによる5.0~6.0 mmの切削深度を示している。パイロットドリルのマーキングは、現在までの切削深度の評価に使用できる。(b)パイロットドリルにて最初の骨削除を行う場合の回転数は、1,100 rpmである(注水は任意)。(c)パイロットドリルで初期の骨削除を行う際には、原則的に注水は行わない。ドリル深度6.0〜8.0 mmインプラントサイズ
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