QDI 9月
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上顎洞底挙上術の気になる疑問を解消しよう耳鼻咽喉科医・國弘幸伸先生への一問一答はじめに1 このたび、編集部から「上顎洞底挙上術の気になる疑問を解消しよう」というテーマの原稿を依頼されました。 当然のことですが、インプラント治療を進める主体は歯科医師です。しかし、インプラント治療の適応はどんどん広がっています。それにつれて、歯科医師だけでインプラント治療を完結させることが難しくなってきています。インプラント治療を手がける歯科医師は、今後は自らが提供するインプラント治療の安全性と質を高めるために、さまざまな領域の専門家と積極的に協力していかなければなりません。特に耳鼻咽喉科医との協力は必須です。耳鼻咽喉科医が持っている鼻副鼻腔領域の解剖の知識と内視鏡下の鼻副鼻腔手術の技術をインプラント治療に応用しないのは、あまりにももったいないのではないでしょうか。 私が本稿の執筆をお引き受けした理由は、耳鼻咽喉科医がどのような視点からインプラント治療を見ているかについてその一端を歯科医師の皆様に知っておいていただければ、皆様が今後インプラント治療を行う際に何らかの役に立つのではないかと考えたからです。編集部のご厚意により、2回に分けて私なりの考え方を述べさせていただく機会をいただきました。大変光栄なことと思っております。 鼻副鼻腔領域の解剖や副鼻腔に対する内視鏡手術の概略については過去に本誌で述べましたので1、2)、今回はこれらについての詳細な記述は割愛させていただきます。第1回 耳鼻咽喉科医から見た上顎洞底挙上術の適応症と合併症國弘幸伸慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科日本歯科医科連携医療研究会* 昨今、上顎洞底挙上術後のトラブルが問題視されることが多くなりました。そうした背景から、術前にCT撮影を行い粘膜肥厚、嚢胞の有無を確認するなど、以前にも増して慎重な対応を行う歯科医療機関も増えています。一方、歯科医師が上顎洞底挙上術を計画する際、鼻副鼻腔領域について耳鼻咽喉科医に質問や相談をしたいと思っても「なかなか機会がない」「どう聞けば良いかわからない」という声も多く聞かれます。 そこで本企画では、耳鼻咽喉科医であり上顎洞底挙上術にも精通した國弘幸伸先生にご登場いただき、歯科医師が抱える疑問に対して、2回にわたり一問一答形式でお答えいただきます。(編集部)*日本歯科医科連携医療研究会(JSDMC):http://www.jsdmc.jp/上顎洞底挙上術の気になる疑問を解消しようLearn The Basics of Implant 上顎洞底挙上術の気になる疑問を解消しよう145─Vol.21,No.5,2014841
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