QDI 1月
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司 会:米澤大地回答者:堀内克啓/野阪泰弘/寺本昌司司 会:米澤大地回答者:堀内克啓/野阪泰弘/寺本昌司減張ができないので、できるだけ長くしておいたほうが、特に垂直的な骨造成のときには確実に開きにくくなります。Simionらは「昔、口蓋側で切開を入れていたが、よくメンブレンが露出した。そして、最終的に唇側に切開を持ってきたら開かなくなった」と言っていました。GBRの術式を開発するうえでもそういう変遷があった、という話を彼から聞きました。米澤やや唇側に設定するということですね。堀内中央寄りではなく、角化粘膜範囲内の唇側ですね。垂直的に骨造成量が多ければ、図2-aで示したあたりにしたほうが、口蓋のフラップを長くとれるので、歯槽頂付近で縫合できるのですが、もし口蓋側で切開したら、歯槽頂を越えて口蓋側で縫合しないといけないので、唇側の減張切開の量も多く要るんですね。きちんと減張切開をできない人が行うと、必然的に創が開いてしまいます。GBRしてメンブレンが露出した際に「メンブレンが悪いんだ」と言う人がいますけれど、「あなたの術式が間違っている」ということです。野阪私は図2-bの位置です。角化粘膜の幅が非常に少ない場合、どうしても口蓋側寄りになってしまうんですよね。縫合するときは、角化粘膜どうしを合わせたほうが絶対に縫いやすいですし、骨造成量が多い場合、口蓋側に縫合線が位置してしまうことは、たまにありますね。寺本私も以前堀内先生とディスカッションさせていただいてから切開線は唇側にしているんですけど(図2-c)、中間歯欠損の場合、歯間乳頭を温存しやすいという二次的なメリットがあるんじゃないかと思うんです。堀内口腔前庭も浅くなりにくいですよね。寺本そうなんです。切開線を唇側に変えてから、いろいろ御利益があるのかなと実感しています。堀内それほど量の多くない骨造成であれば、唇側で切開したほうが、ソフトティッシュマネジメントはほとんど必要なくなりますからね。米澤なるほど、堀内先生が言われたように、多くの先生は口蓋側に切開を入れますよね。堀内GBRのテクニカルガイドラインなどを見ると、Buserなどは今でも口蓋側を切開していますから。図2-a 堀内克啓が設定する歯槽頂切開のライン。口蓋のフラップは、原則的に減張ができないため、できるだけ長くなるように、歯槽頂水平切開は角化粘膜の範囲内で唇・頬側に切開を加えるほうが創哆開しにくい。特に、垂直的骨造成量が多い場合は、角化粘膜の範囲内でできるだけ唇・頬側に設定すべきである。図2-b 野阪泰弘が設定する歯槽頂切開のライン。垂直的な骨造成術を行う場合は、角化粘膜内でなるべく頬側に切開線を入れる。近遠心とも縦切開を入れる。図2-c 寺本昌司が設定する歯槽頂切開のライン。基本的には堀内氏と同様であるが、本症例のように前歯部の骨欠損が少ない場合には、歯間乳頭にメスを入れずに唇側寄りに水平切開を入れる場合もある。堀内野阪寺本23─Vol.22,No.1,2015023
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