QDI 2015年3月
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CGF・AFGの基礎および臨床応用黄 炳珍(ハルビン医科大学客員教授、大連医科大学客員教授)はじめに 血小板の中には種々のgrowth factorsが含まれており、これらgrowth factorsの組織治癒、再生への期待から、自己血液製剤が使われてきた1~4)。歯科における自己血液製剤の使用は多血小板血漿PRP(platelet rich plasma)から始まった1)。具体的には抗凝固剤が入っている採血管に採血し、遠心機にて1回目の遠心を行う。血液は遠心力により、赤血球層、白血球と血小板からなるbuffy coatと呼ばれる層、血漿層に分離される(図1)。上部の血漿層とbuffy coat層をピペットで別の遠心管に移し、2回目の遠心を行うと血小板と白血球は最下部に沈積される(図2)。血小板が乏しい上部のPPP(platelet poor plasma)画分を取り除くと、下部に血小板が濃縮された血漿、すなわちPRPが得られる。10ccの採血管にて採血し、0.3~1.0ccのPRPを採集する場合、約3~10数倍に濃縮されたPRPが得られる5、6)。このPRPにトロンビンと塩化カルシウムを入れるとPRPは凝固する。PRPを骨移植材料と混ぜて凝固させることで、骨移植材料は粘性がある骨移植材料になり、操作性が向上するため、臨床で愛用されてきた1~4)。 しかし、使用されてきたトロンビンは牛由来あるいは他人由来のものが多かったため、生物的安全性の問題が疑問視されてきた2~4)。また、2回遠心による煩雑さもしばしば指摘された2~4)。Growth factorsの効果に対しても賛否両論で統一見解は得られていない7~12)。Anituaらはこれらを改良して1回遠心、トロンビンを使わないPRGF(growth factor in fibrin)テクニックを発表したが2)、抗凝固剤の使用などの根本は変わっておらず、加熱システム、ピペット操作などの複雑さが指摘された3、4、6)。また、白血球を含まないことへの異論や、血小板数の少なさを指摘する論文もある3、4、6)。 Choukrounらは、抗凝固剤が入ってない採血管を使うことでactivatorすら必要としない、自然凝固する自己血液製剤PRF(platelet-rich fibrin)テクニックを開発した3、4)。抗凝固剤を含む添加剤を一切使わないPRF法は、第二世代の自己血液製剤として注目を集めた。日本ではこのPRF技術を改良し、遠心管壁と血液の間の摩擦を増やすことができるように工夫したMedifuge(図3)で製作できるCGF(concentrated growth factor)が多用されている。臨床現場では、このCGFを塊のまま、あるいは押しつぶしてメンブレンにしたものがサイナスリフト、GBRなどの術式に適用されている(図4、5)。また、CGFは物性面で骨移植材料と混合しにくい図1図2&キーワードCGF、AFG、再生医療、自己血液製剤、PRP、成長因子、足場材図1 血液は遠心力により、赤血球層、白血球と血小板からなるbuffy coatと呼ばれる層、血漿層の3層に分離される。図2 上部の血漿層とbuffy coat層をピペットで別の遠心管に移し、2回目の遠心を行うとPRPとPPPに分離される。buffycoat血漿RBCPRP(platelet rich plasma)PPP(platelet poor plasma)57─Vol.22,No.2,2015213

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